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中部電力が招いた浜岡原子力発電所のデータ改ざんという前代未聞の不祥事は社長らトップ3人の引責辞任と浜岡原発の審査申請取り下げで一つの区切りをつけたが、決断の裏には政府と中部電の思惑が隠れている。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、中部電の不祥事を最小限に抑え込んだ落としどころと目算が狂ったエネルギー計画の現在地点を解説する。(国際大学学長 橘川武郎)
208件の不適切事案と「独自の正当化理論」
代償はトップ3引責辞任と審査申請取り下げ
中部電力は、2026年9月14日、浜岡原子力発電所の審査で地震の想定に関するデータを改ざんしていた問題に関する外部調査委員会の報告書の内容を公表した。外部調査委員会が報告書を直接発表する形ではなく、中部電がその内容を紹介するやり方であった。
報告書の概要は、以下の通りである。
・基準地震動評価で「虚偽説明」「隠蔽」などの不正行為があり、225件の評価のうち208件で、不正が確認された。また、17件で資料の残存状況が不完全であった。
・不正事案の代表的な手法は、平均値との差が最小となる地震動計算結果を多数作成し、その中から都合の良いもの一つを人為的に選定するやり方で、104件の事例が確認された。
・経営層が浜岡原発再稼働の遅れについて原子力土建部を叱責したことが、不正行為の要因の一つとなった。
・中部電全体に通底する根本的な原因として、「自分たちは正しいことをしている」という独自の正当化理論や、「結果として浜岡原発の安全性に問題はない」という特異な考え方が存在していたことが拳げられる。
・19年と21年に問題を指摘する内部通報があったが、適切に処理されなかった。
この報告書からも、今回のデータ不正問題の根の深さを明確に読み取ることができる。外部調査委員会の報告書内容の公表と同時に中部電は、水野明久相談役、勝野哲会長、林欣吾社長が引責辞任すること、問題となった浜岡原発3・4号機の原子炉設置変更許可申請を取り下げる旨、原子力規制委員会へ文書を提出することなどを発表した。
これらのうちトップ3人の辞任はある程度「織り込み済み」の事柄であったが、再稼働申請の取り下げは事前にあまり指摘されていない措置であった。この申請取り下げは、日本政府および中電のそれぞれの思惑を反映したものである。
次ページでは、両者の思惑が一致した落としどころと計画が狂いだしているエネルギー基本計画の現在地点を解説する。







