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戦後日本の繁栄を下支えし続けた大手電力10社を軸とする電力業界は過渡期を迎えている。電力小売り全面自由化により競争が激化する一方で、データセンター投資や原子力発電所の新増設が求められ、安定した業界というイメージは過去のものとなりつつある。長期連載『エネルギー動乱』内の特集『東電分解』の#9では、大手電力10社を襲う構造的な逆風を整理し、業界再編が現実味を帯び始めた深層を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
規制と独占を追い風に発展した電力業界
新電力の台頭と膨れ上がる投資に滲む焦り
戦後日本の電力業界は、米国統治下の沖縄を除く全国で9電力体制を構築した。巨額の設備投資と安定供給を両立させるため、地域ごとの独占が認められるとともに、電力供給コストに適正利潤を上乗せして料金を設定する「総括原価方式」が採用され、確実なコスト回収と利益確保が制度的に保証されていた。
しかし、そうした手厚い保護も今は昔だ。現在の電力業界は、東京電力ホールディングス(HD)や関西電力など全国の大手10社に加え、J-POWER、JERA、日本原子力発電、さらに多様な新電力がしのぎを削る激戦の時代へと突入している。
長く規制産業として守られてきた業界は、新勢力の台頭で厳しい競争にさらされている。そこへ拍車をかけるように、政府の「第7次エネルギー基本計画」では脱炭素電源として原子力発電所の新増設が求められ、AI普及に伴うデータセンター(DC)の新設ラッシュが押し寄せる。
原発もDCも、建設費用が兆円規模に達する巨大設備だ。とりわけ原発は新規制基準の審査を通過するまでに膨大な年月を要し、その審査期間中、設備は一切の収益を生み出さない。
DC需要への対応にしても、急増する大容量電力に耐え得る送配電ネットワークの増強工事が急務となる。地域独占と確実なコスト回収という昭和の成長モデルが崩壊する中、大手10社は巨額投資と収益悪化のはざまであえいでいる。
次ページでは、大手電力が直面する多重苦の実態と、水面下で再編論が浮上せざるを得ない構造的要因を解き明かす。







