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米国の大統領は中間選挙の時期に、外交成果を示そうとすることが少なくない。9月の米中首脳会談でドナルド・トランプ大統領は目立った成果を得られなかったという評価は多いものの、見逃せない動きがあった。中間選挙で苦戦するトランプ大統領が、次の一手として「北朝鮮外交」で成果を狙う可能性がある。日本は“頭越し”の外交の進展に備えておく必要があるだろう。(共同ピーアール総合研究所主任研究員 渡辺克也)
中間選挙苦戦のトランプ大統領が狙う「外交成果」
失われつつあるキューバ・シナリオ
11月3日に上院3分の1と下院全てが改選される中間選挙を控えるドナルド・トランプ米大統領。9月22日には高市早苗首相と、24日には中国の習近平国家主席と相次いで首脳会談を実施した。
米大統領が選挙前に、「外交成果」を有権者へ示そうとすることは珍しくない。98年10月23日、クリントン政権はイスラエルとパレスチナのワイ・リバー合意をまとめた。中間選挙の11日前だった。
第1次トランプ政権でも、20年9月15日にイスラエルとアラブ首長国連邦、バーレーンの国交正常化を柱とするアブラハム合意の署名式を開いた。大統領選の約7週間前である。
26年のトランプ氏は、それ以上に切迫している。元来、上院は共和党が議席を減らした年の改選であること、下院はゲリマンダーを前倒しできていることによって、共和党が構造的に有利な状況にあった。それにもかかわらず9月のロイター/イプソスの世論調査では政権支持率が32%と過去最低を記録し、共和党支持層でも1月の86%から73%にまで低下。10月も支持率32%と低迷が続く。
背景の一つは、高止まりが続く米国のインフレだ。ガソリン価格高騰などもあり、米国の9月の消費者物価指数は前年同月比3.7%上昇した。さまざまな要素が複雑に絡むインフレは、大統領令一つで解決できる問題ではない上に、関税やイラン情勢などを通じ、有権者にはトランプ氏とインフレのイメージが結び付いてしまっている。
共和党員が重視する不法移民や薬物問題では、トランプ氏は既に強い政策を打ち出してきた。支持率を短期間で押し上げるには、テレビ映えする外交成果が残る有力な選択肢となる。
9月22日にはグリーンランドを巡り、中国を意識した安全保障協定をデンマークとの間で取りまとめた。一定の成果ではあるものの、世界の目を引く「歴史的合意」として中間選挙を戦うには弱い。自らが主役になれる、より大きな舞台を狙いたいとトランプ氏が考えてもなんら不思議ではない。
今年初めには、キューバへの圧力を強め、体制転換まで狙うとの観測が関係者の間で広がった。キューバからの亡命2世が多い、南部ヒスパニック票を引き付ける政治的効果も見込めるからだ。対キューバ制裁や圧力は今も続いている。だが、イラン情勢が長期化し、これ以上戦線を広げにくくなったことで、目前に迫る中間選挙に向けたシナリオとしては、優先順位が下がった。
そこで再び浮上するのが北朝鮮外交である。目立った成果がなかったとされることも多い米中首脳会談にも、見逃せない動きがあった。







