尹大統領の「逮捕」と「弾劾」で揺れる韓国
見えない米トランプ政権「自国優先」の中身
年始早々から、韓国では「内乱罪」での逮捕令状が出された尹錫悦大統領の身柄拘束をめぐって、警察などの捜査当局「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)と、拘束を阻止しようとする大統領の警護機関(警護庁)の間で、大統領公邸での攻防を含めて激しいせめぎ合いが続いている。
10日には警護庁長だった朴鐘俊氏が警察の要求に応じて出頭後、辞任。捜査当局は、職務を代行する金声勲警護庁次長の身柄を拘束、それを突破口に尹大統領の逮捕に踏み出そうとしているが、金次長は出頭を拒否したままだ。
一方で14日からは憲法裁判所での尹大統領の弾劾審判が始まり、現時点では2月4日までの計5回の弁論期日が指定されている。
弾劾決議を受けて尹氏が職務停止になった後、職務を代行してきた韓悳洙首相も弾劾され、その後を崔相穆副首相が務めるが、議会では野党が主導権を取る状況で韓国の政治は“空白状況”といえる。
こうした不安定状況を揺さぶるかのように、6日には北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。この発射にはどういう意味があるのだろうか。朝鮮半島不安定化の“号砲”となることはないか。最大の懸念は、20日に発足する米トランプ新政権が「自国優先」でどのような東アジア戦略を打ち出すのかが見えないことだ。
バイデン政権、尹政権、岸田前政権の下で戦後最悪と言われた日韓関係が修復され、ようやく再構築された日米韓の外交や安全保障の連携は、正念場の年だ。