Photo:Wong Yu Liang/gettyimages
米中間選挙ではドナルド・トランプ大統領が所属する共和党の勝敗が話題の中心になりがちだが、個別の議員の当落にも注目すべき点がある。特にその議員が政策や法案のキーパーソンになっている場合だ。日本にも影響が大きい半導体の対中規制もその一つ。中間選挙の裏で、米半導体大手はロビー合戦を繰り広げており、選挙の結果次第で半導体規制が新局面を迎える可能性がある。(共同ピーアール総合研究所主任研究員 渡辺克也)
半導体装置大手5社を名指しした米議会
対中規制の“穴”はどこにあるのか
中間選挙の結果次第で、米国の対中半導体規制が新たな展開を迎えるかもしれない。
今から約2年前の2024年11月。米下院の中国特別委員会は、半導体製造装置の世界大手5社に対して、中国向けの販売実態を尋ねる質問状を送った。
送り主は共和党のジョン・ムーレナー委員長と、当時民主党の筆頭委員だったラジャ・クリシュナムルティ議員である。対中半導体規制は共和党だけの政策ではなく、超党派で進められてきた。そして約1年後の25年10月、同委員会は調査報告書「Selling the Forges of the Future」を公表した。
米国の輸出管理の土台となるのが、商務省産業安全保障局(BIS)が運用する輸出管理規則(EAR)である。安全保障上の懸念がある中国企業などを名指しして「エンティティリスト」に加え、リストの掲載企業へ対象製品を輸出する際などにBISの許可を得る義務を課すことで、貿易を制限する。
いわば、誰に売るかを縛る“点”の規制である。半導体製造装置についても、米国はこの仕組みを使って中国企業への輸出を制限してきた。
実際、規制には効果があった。報告書によれば、米国の半導体製造装置大手3社が、販売時点で既に米政府の規制対象だった中国企業から得た売り上げは、22年から24年にかけて56%も減少したのだ。
ところが、中国への装置流入を十分には止められなかった。
エンティティリストで指定して特定の企業への販売を止めても、別の中国企業への販売が増えてしまい、その企業が後から規制対象になる事例も確認されたからだ。一社ずつ企業をリストに指定して追いかけるだけでは、いたちごっこになってしまう。
この“穴”をふさぐために米議会は動いた。その答えが、26年4月2日に超党派で提出された「ハードウエア技術規制の多国間調整法(MATCH法)」案である。







