タイをアジアにおけるプリント基板および半導体のサプライチェーンの中核拠点として位置づけることを目的としてバンコクで開かれた「Thailand Electronics Circuit Asia 2025」タイをアジアにおけるプリント基板および半導体のサプライチェーンの中核拠点として位置づけることを目的としてバンコクで開かれた「Thailand Electronics Circuit Asia 2025」 Photo:Anadolu/gettyimages

25年10月以降、半導体・電子機器の輸出は
前年からシンガポール41%増、ベトナム54%増

 AIブームを背景に半導体需要が高まる中、ASEAN諸国からの半導体・電子機器関連製品の輸出が好調だ。特に、シンガポールやマレーシア、ベトナム、タイの輸出(3カ月移動平均)は、2025年10月ごろからほぼ前年比2桁で増加している。

 シンガポールの26年4〜6月期の輸出額(ドル建て)は前年同期比40.8%増、マレーシアは同53.5%増、ベトナムは同22.8%増、タイは同17.7%増だった。

 こうした好調な外需は、中東緊迫化や異常気象によるインフレリスクと重しとなっている内需とは好対照だ。

 背景には、ASEAN諸国が世界でも有数の半導体・電子機器サプライチェーンを形成していることがある。

 従来は、日本や中国、韓国、台湾といった電子機器製造先進国(地域)から高付加価値な部品を調達し、安価な労働力でもって最終組み立てを行う拠点として重宝されてきたが、近年は、より高付加価値な製造工程をも担うようになり、アジア地域の半導体・電子機器生産で欠かせない存在に変貌しつつある。

 特徴的なのは、各国の産業集積度がそれぞれで異なり、それに応じて、半導体製造に強いシンガポールとマレーシア、タイとベトナムは電子機器製造の主に下流に競争力を有しているなどの“分業構造”が確立されていることだ。部品などを輸入し、加工して米国や中国、台湾などへの輸出拠点となっている。

 だがAIブームの恩恵による活況の陰で、サプライチェーンが一気に寸断されかねない不安定さも抱える。

 米中対立で、米国が先端製品や技術が中国に流れるのを抑える動きを強める中、ASEAN諸国経由での流出を規制・監視する動きも起きている。中国と台湾の関係が緊迫化する場合には、ASEAN諸国の生産などへの影響も避けられず、活況の陰で新たなリスクも増している。