リーダーに必要なのは
強い情熱と高い志

「足るを知る」という言葉があります。お金や物に対する私利私欲については、足るを知ることが大切です。しかし、「世の中をもっと良くしたい」「自分の能力を高めて、人の役に立ちたい」という欲まで小さくする必要はありません。むしろ、そうした欲はどんどん高めていくべきです。

 ところが人は往々にして、欲を向ける先を逆にしてしまいます。お金や物への欲は膨らませ続ける一方で、世の中や自分の成長のための欲はそこそこで満足してしまう。それでは、大きな仕事を成し遂げる力も生まれません。

 そうした欲を支え、進む方向を定めるのが「志」です。イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんは、かつて私の手帳に「志は気の帥(すい)」と書いてくださいました。高い志があれば、そこから気力が生まれるという意味です。

 リーダーに必要なのは、感情や欲をなくすことではありません。内側に強い情熱やエネルギーを持ち、それを理性で律して、仕事や部下のために生かすのです。

 ここぞというときの言葉や表情に、その人の本気が表れます。普段は和顔愛語で人に接し、言うべきときには厳しく伝える――その背後にある理性とエネルギー、そして志は、長く生き方を積み重ねるうちに、その人の顔つきににじみ出てくるのだと思います。