11月6日、米国のAI規制への懸念から4000円以上下がった日経平均株価 Photo:JIJI
高市政権の積極財政などへの懸念から国債価格低下や円安が進む中、株価上昇が続くのは、AI(人工知能)・半導体ブームに加え、電気代やガソリン代補助などの物価高対策で需要が支えられてインフレが続き、名目上の企業業績が膨らんでいることがある。一方で実質賃金は伸び悩んでおり、多くの人には実感がないことになっている。特集『高市政権1年 サナエノミクスの功罪』の本稿では、高市政策で“株高不況”が続く理由を解説する。(第一ライフ資産運用経済研究所経済調査部主席エコノミスト 藤代宏一)
日経平均6万円台割れも、年度末に再び7万円回復!?
実感薄い“株高不況”は継続
日経平均株価は2025年10月に5万円を超えると、26年4月には6万円を突破し、6月には7万円台に突入した。その後、日米中央銀行の利上げ観測を受けた半導体株の調整などから、このところは6万円台前半で推移している。
11月6日には、米中間選挙での民主党の上下両院での勝利でAI(人工知能)・データセンター投資が抑えられるのではとの見方からさらに大幅に値を下げ6万円台割れとなったが、AI・半導体の好調は続くとみられ、26年度末には7万円を回復する可能性が高いと判断している。
国債価格低下(長期金利上昇)や円安が止まらないなど、金融市場では高市政権の積極財政への懸念が強い中で、なぜ株高が続くのか。その背景には、世界的なAI関連投資の強さがもちろんあるが、株価にはインフレが“追い風”になっていることがある。
高市政権は物価高対策を最優先課題と掲げてきたが、その内容は、電気・ガス料金やガソリン代の補助など、需要を下支えるものだ。そのため企業の価格転嫁も進んできた。企業業績などもインフレで膨らんでおり、株価を押し上げる要因になっている。
インフレ対応の物価高対策が、むしろ皮肉にもインフレを継続させ、株価を上昇させている。一方、物価上昇で実質賃金は伸び悩んでおり、多くの人には株式市場の活況や生活への波及の実感は少ない。
今後、日本銀行の金利正常化が進み、長期金利の上昇が続いても、“株高不況”という実感の薄い株式市場の活況は続く可能性が高い。







