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高市政権の財政政策で目立つのが政策の不整合だ。インフレや金利上昇局面への対応で財政運営の器(枠組み)は変えたが、中身の政策はマクロ経済環境との齟齬も見られる。政策の目的や対象が違う消費税減税と所得連動型給付をセットにした家計支援策もまだ生煮えの状態だ。特集『高市政権1年 サナエノミクスの功罪』の本稿では、“ちぐはぐ”な高市積極財政のリスクを深掘りする。(第一ライフ資産運用経済研究所首席エコノミスト 星野卓也)
枠組み転換で財政ガバナンス強化
個別政策になると不整合やちぐはぐさ
高市政権の発足から1年が経過した。
「強い経済」実現と「責任ある積極財政」を掲げ、この1年は、積極財政のフレームワーク(枠組み)の設計と、具体的な政策として、物価対策の食料品の消費税減税と所得に連動する「就業者負担軽減支援金」導入などの家計支援策が中心となってきた。
「骨太方針2026」で打ち出した枠組みの設計では、財政運営の中核目標を「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化」から「国・地方の債務残高対GDP比の安定的低下」に移し、PBは確認指標に位置付け直した。これは、インフレや金利ある世界への対応として評価すべきポイントといえる。
また、無駄な歳出拡大の抜け道になってきた補正予算依存からの脱却を打ち出した点など、財政政策の「器」の改革は財政ガバナンスの強化など評価すべき点が少なくない。しかし、その器に盛られた政策にはマクロ経済環境との齟齬も見られる。
特に家計向け支援策には課題が多く残っている。
物価対策として打ち出された2年間の食料品の消費税減税は、需要喚起力の強いものだ。しかも、2年後に、接続する形で本格導入される所得連動型給付(あるいは給付付き税額控除)とは、政策が狙う効果も対象も異なり、この政策パッケージも不整合を抱える。
さらにいえば、こうした所得に応じたきめ細かな給付や税額控除の制度を十分に機能させるためには、家計の所得把握なども含め、必要に応じきめ細かな給付を実施できるインフラの整備などの根本策にどこまで踏み込まれるのか、不透明なままだ。
金利のある世界など新しい局面に対応する財政政策の枠組みを整えたなかで、個別政策の不整合をどう改善するか。そこに課題がある。







