高市政権の経済ブレーン会田卓司氏「緩やかな利上げには反対しない」、日銀の政策金利は「2029年に2.5%」と予想Photo by Kiyoshi Takimoto

高市政権の財政拡張路線は日本銀行が進める金融正常化と矛盾し、円安や長期金利上昇の一因となっている。政権の経済ブレーンで日本成長戦略会議構成員を務め、『何が日本経済を壊したのか』(ダイヤモンド社)の著者である会田卓司氏は、日本を取り巻く経済環境や日銀の利上げについてどう考えているのか。特集『高市政権1年 サナエノミクスの功罪』の本稿は、会田氏へのインタビューの後編。日銀の利上げペースや最終到達金利、長期金利上昇の要因、円安をもたらす根本原因と円高に転じる条件について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

※会田氏のインタビュー前編はこちら。

急激な利上げは円安・物価高を招く
消費税減税で家計の不安を緩和

――投資は短期的には需要を増やし、供給力が限界に近い状況では物価上昇につながります。物価上昇による家計負担をどう考えますか。

 その必要悪は小さくしなければ家計が耐えられませんから、財政政策で支えることになります。問題は、インフレを抑え込むために急激に金利を上げたり、政府が投資を控えたりすることです。日本の景気や投資が腰折れしてしまいます。

 他の主要国でも景気の腰折れが起きればまだよいのですが、他の主要国は一斉に官民連携の戦略投資と産業政策を進めています。日本だけ投資が腰折れし、総供給が小さくなっていくという不安が生まれれば、円安を加速させ、供給力が低下してさらなるインフレの加速につながります。

 足元はやや高めのインフレ率を許容しながら、財政政策で弊害を緩和しつつ投資を拡大すれば、中長期的にはインフレを安定させ、円高に持っていくことができます。

 今、インフレを恐れて投資を抑制してしまったら、インフレ率は安定し、利上げによって円安も止めることもできるかもしれません。ですが、投資が腰折れしてしまったら、供給力の制約から将来的にはもっと大きな円安やインフレを招いてしまいます。

――高市政権は物価高対策として食料品の消費税減税を進めようとしています。消費税減税ではなく給付付き税額控除という方法もあるのではないでしょうか。

 それが最初にできればいいと思います。ただ、時間がかかるのが現実です。一方、物価上昇による家計の負担増加への対策は待ったなしです。消費税減税も今年は実施できません。

 今年度はガソリンやエネルギー価格への補助、来年度と再来年度は消費税減税、その後は給付付き税額控除もしくは所得連動型給付で不安を緩和することになります。低所得者や中所得者を支え、実質賃金上昇の果実を享受してもらうということかと思います。

 投資拡大に伴う一時的な物価高は、財政政策で家計を支えながら乗り切るべきだと会田氏は説く。次ページでは、日銀の利上げペースと最終到達金利、長期金利上昇の要因、円安をもたらす根本原因と円高に転じる条件を聞く。