メディア興亡#1Photo:PIXTA

全国の新聞社や放送局にニュースを配信する時事通信社の中期経営計画(2025~27年度)をダイヤモンド編集部が独自に入手した。同社は長年赤字が続くが、中計に記されていたのは再建への具体的なロードマップではなく、数値目標を放棄した経営陣の「迷走」だった。新連載『メディア興亡』の本稿で、電通株の配当を命綱に不透明な資産運用で食いつなぐ名門通信社の断末魔を詳報する。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

営業赤字は26期連続の異常事態
「業界の七不思議」と揶揄される惨状

 中期経営計画の内容を紐解く前にまず、時事通信社を取り巻く経営環境について整理する。近年、発行部数の激減やインターネットメディアの台頭により、新聞・テレビといった既存メディアは総じて苦境にあるが、時事の衰退は際立っている。

 売上高は減少の一途をたどり、2013年度に「バブル崩壊後最低の水準」と嘆かれていた176億円を計上。その後も回復の兆しは見えず、23年度にはついに過去最低の152億円まで落ち込んだ。

 時事は五輪の年に売上高が回復する傾向にある。スポーツ関連記事の閲覧数増加により広告収入が増加するためだ。それでもパリ五輪があった直近24年度の売上高は156.5億円と、前年度比で微増にとどまった。

 深刻なのは本業の実力値を示す営業損益だ。24年度に36.1億円の赤字。営業赤字はこれで「26期連続」となる。今世紀に入って一度も本業で出せていない事態に、他社のベテラン記者は「これほど長期間赤字で存続できているのは『新聞・通信業界の七不思議』の一つ」と苦笑交じりに語る。

 稼ぐ力が衰えている中、経営陣は新中計で何を示したのか。そこに書かれていたのは、社員が衝撃を禁じ得ない内容だった。

 次ページでその全容を明らかにし、時事が思い描く赤字脱却策を分析する。