日本のマーケターが
世界で認められるために

 インターネットが登場する前は、品質の高い良いものを作って最小限の広告を打ち、勤勉な日本人営業マンが売れば、まだライバルの少なかったアジアマーケットでそれなりの実績を残すことができました。

 しかし、時代は大きく変わり、今日は、データに裏打ちされた各国のマーケットニーズをきめ細かく調査して、綿密で統合的なマーケティング戦略を策定しなくては、経営資源を豊富に持ち合わせるグローバル企業に対して勝ち目はありません。

 日本国内で頼りにしてきた日系の広告会社も、海外に強固な事業基盤を持つケースは少ないのが現状です。であれば、企業自身が国内でマーケティング人材をきちんと育成し、進出先の国に派遣して現地の優秀な人材を確保したり、現地の広告会社とパートナーシップを構築したりするしかないのです。

 まさに、サッカー日本代表選手や、すでに多くの日本人選手が活躍しているアメリカ大リーグ、また、舞踏や音楽のように、若くて優秀な人材を早いうちから世界一流のステージに送り出し、レベルの高い最先端のマーケティングを経験させることでスキルを上げていく土壌づくりが必要なのです。

 すでに広告クリエイティブの分野では、世界で活躍する日本人クリエターも出始めています。とはいえ、マーケティングに関しては、それが多岐にわたる業務チームで行う活動であるがゆえに、個人の力だけではなかなかレベルを上げられるものではありません。高度な専門知識と経験、それに加えて、社内外のステークホルダーをマジメントし、プロジェクトを運営していく卓越したコーディネート力や対人能力も要求されます。

 そうした人材は、日本ではどうすれば生まれるのか。

 マーケティングに関しては、現状であれば、まず欧米の大学院でMBAを取得するなどのステップが必要であり、学位を取得しても日本以外の国の企業では採用時に実務経験が問われるなど、スタート位置に立つハードルは極めて高いものと思われます。

 こうした状況では、日本の国際競争力は後退しかねません。スポーツ界では多くの日本人選手が、国内での活躍に注目されて海外のチームにスカウトされています。ですので、日本での活躍が世界からの評価に値するよう、まずは、日本企業のマーケティングのレベルを世界標準に持っていくことが必要です。

 そして、マーケター自身も世界に羽ばたく夢を持つことが重要です。日本が世界のマーケティング先進国と肩を並べる日の到来を信じて、私はマーケティングにイノベーションを起こして行きたいと思います。