少し極端に聞こえるかもしれませんが、現実に国内ではなかなか業界再編・淘汰が進んでいません。また、日本の造船所は、新興勢力である韓国や中国の造船所と激しい競争をしていますが、彼らだけがライバルなのではありません。将来的には、インドやブラジルでも造船所が立ち上がってくるでしょうから、これまで以上に世界規模で造船所同士の競争が激しくなっていきます。

 そのような大きな流れの中で、名村造船所グループは、日本の造船所としてどうやって戦っていくか。いかにして勝ち残っていくか。今回、佐世保重工業と組んでやっていこうと決断したのは、将来を見据えた第一歩なのです。

──国内では、危機感を共有する造船所が複数集まって“ゆるやかな連携”を模索する動きが見られますが、どこの造船所も腹の底では“自主独立路線”にこだわっています。名村造船所と佐世保重工業は、3年前から水面下で断続的に話をしていたそうですが、なぜ完全子会社化を選んだのですか。

 もちろん、最初は持ち株会社化という選択肢も検討しました。しかし、企業規模でいえば、両社は中堅造船所に過ぎず、ほぼ専業という意味では「いかに小回りの効く動きができるか」が重要になります。その際、迅速に経営の意思の徹底を図る必要があることや、両社によるシナジー効果を早く出さなければならないことなどを考えて、完全子会社化という形を取りました。

 世界の造船所は、08年秋に起きたリーマンショック以降、非常に厳しい競争を強いられています。船舶を売る仕事には、タイムリーな開発力、設計能力、製品の性能や品質、船価、アフターケアなど、さまざまなファクターが関係しており、顧客からは常に「燃費性能の高さ」を求められています。

 また、現在は、国際的に環境規制のルール作りが進んでいます。例えば、国際海事機関が整備を進めている「エネルギー効率設計指標」や「エネルギー効率管理計画書」などに対応していく必要があります。これらは、二酸化炭素などの温暖ガスの削減に主眼を置くもので、数年ごとに規制のハードルが上がっていきます。

 そうなると、やはり研究・開発力の強化、設計能力の増強、資機材の調達力の向上、一定の規模拡大などが、解決すべき喫緊の課題として浮かび上がってきます。新体制発足後は、設計陣が160人から240人に増えることになります。