「第4のルール」を使えば、
伝えたいことが明確に力強く伝わる!
「NHK式7つのルール」の第4のルールは、「一文50文字以内」にすることです。
先に触れたNHK放送技術研究所は、「やさしい日本語ニュース」というわかりやすい言葉で伝える研究をしています。
その中で、わかりやすい言葉にするための7つの条件を発表していますが、最初に挙げられているのが、一文が長いという悪い例です。
私は現在、政治家からビジネスパーソンまでのスピーチコンサルティングをしながら、国立大学の教員をしていますが、講義の後、学生から質問を受けることがあります。
中には、熱心に質問してくれるものの、何を聞きたいのかがわかりにくく、答えに困るケースがあります。
そういう学生の言葉は一文が長いのです。
「今日の~についてですが、先生は~と言いましたが、~ということもありますし、~と思ったのですが~」という調子でダラダラと質問するのです。
しかも尻切れとんぼの形です。
試しに一度数えてみたところ、一文が200文字以上ありました。
これは社会人の基本とされる「報告・連絡・相談」の場面でもありうる悪い例です。
「NHK式」では、一文は50文字以内です。
一つの文、つまりはじまりから句点「。」までが50文字を超えると長いということです。
ここで言う50文字は、漢字カナ混じり文です。
漢字とカナの使い分けは、放送現場の「表記のよりどころ」と言われる、NHK放送文化研究所編『NHK漢字表記辞典』(NHK出版)にもとづきます。
学生には独自につくった一行50文字の原稿用紙を渡し、一文50文字で書いてから質問するように指導しました。
すると、ひと言で明確にわかりやすい質問をすることができるようになりました。ゼミや学会発表のときなどにも役に立っているそうです。
一文が長い文章は、ピントがボケて何を言いたいのかわかりません。
一文が短い文章は、伝えたいことが明確で、力強い印象を与えます。
本書では、一文50文字以内に収めた、小泉純一郎元首相の素晴らしいスピーチ例を紹介しています。
また、巻末特別付録として「NHK式やってはいけない7つの話し方」も例文で紹介しています。あわせてご覧ください。