年を重ねるにつれ人前で話す機会が増えますが、話し方について指導を受けることはなかなかありませんよね。今回ご紹介するのは、50年の長きにわたって読まれ続けているスピーチの古典『カーネギー 心を動かす話し方 一瞬で人を惹きつける秘訣』です。
ビジネスパーソン必須の
スピーチの技術
昨年9月7日に開催されたIOC(国際オリンピック委員会)総会における高円宮妃久子さまのスピーチは、多方面から絶賛を浴びました。当時、本サイトに「高円宮妃久子さまのIOC総会お言葉に学ぶリーダーのスピーチ」を寄稿したリーダーシップ・コミュニケーション・コンサルタントの佐々木繁範氏は、「最大の特徴は、IOC評価委員一人一人に、直接、語りかけるように話した点」と指摘したうえで、久子さまは以下「三つの技術」を巧みに駆使していたと分析しています。
一つ目は、的確な間合い(ポーズ)を取りながら話をすること。そうすることで、聴衆が話し手の言葉を噛みしめ、情景を頭に思い描きながら聴くことが可能となります。二つ目は、言葉の強調(アクセント)です。大切な言葉を強めに発音することで聴衆に伝えたい思いを強調することができます。三つ目は、聴衆への視線(アイコンタクト)です。聴衆に視線を送ることで「あなたに対して話をしている」ということをしっかり伝えることができます。
これらスピーチの技術は、とりわけ海外で仕事をする機会が増えているビジネス・パーソンにとっても必須のスキルといえます。本書『カーネギー 心を動かす話し方(D・カーネギー著)』はそれらのスキルを身に着けるための教則本のような役割を担っており、実践で使えるテクニックやノウハウがぎっしりと詰まっています。なお、2006年に出版された本書は1965年に初版が発行された『カーネギー 話し方教室』(ダイヤモンド社)の新装版であり、書名こそ改題されたものの、内容は表記の一部を除いて変更されてはいません。50年近くにわたって読み継がれている本書は、デール・カーネギー・トレーニング(話し方教室)の現場で、一貫して副読本として使用されてもいるのです。