UKにおけるイングランドの人口は8割超を占める。それに関連する法律に関与できないということは、スコットランド選出議員の発言力は大幅に弱まる。騙し討ちに遭った印象をスコットランドの人々は感じる可能性があるだろう。また、労働党にはスコットランド選出の議員が多いため、ミリバンド党首も猛反発している。

スペインからの独立を懸けて住民投票を行うカタルーニャ自治州。サグラダ・ファミリアはその州都、バルセロナのシンボルだ
Photo by Takahisa Suzuki

 スペインのカタルーニャ自治州(州都バルセロナ)は、11月に独立を懸けた住民投票を決行する方針だ。同地域の人々は、UK政府の住民投票後の態度を見て、「中央政府が懐柔策を示しても信じてはいけない」と感じ始めているかもしれない。スペインの今後の動きにも注意が必要である。

 ところで、スコットランドの住民投票前に最も激しい論争になったのは通貨だ。独立推進派は、ポンドを採用し、残りのUKと共通通貨圏を形成する案を主張していた。UK政府はそれを拒絶したが、カーニー・イングランド銀行総裁は、共通通貨圏成功に必要なポイントを次のように指摘した。

「労働力、資本、財の国境を超えた自由な移動」「共通化された金融監督基準、中央銀行の流動性供給や“最後の貸し手機能”へのアクセスの確保」「金融機関破綻時の共通の対処策、共通の預金保険制度」「加盟国の財政の健全性を保つための財政協定」

 これはユーロ圏の教訓を踏まえた指摘だが、結局、異なる国が共通の通貨を使うには、経済・制度・財政が限りなく一体化する必要がある(となるとスコットランド独立の意義があまりなくなる)。

 こういった議論を聞くと、アジア共通通貨圏の創設は容易ではないな、とあらためて感じられる。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)