企業勤めのビジネスパーソンの多くにとって、人事部門とは「遠くにあるもの」であり、「自分が行く(移動する)先ではないところ」、場合によっては「なんだかコワい部署」かもしれません。でも、「現場がいちばん!」と思っているあなたにも、突然「それ」がやってきました。
本連載は、図らずも「人事な人」になってしまったみなさまに向け、戸惑いと不安を解消し、前向きで、かつクリエイティブに人事の仕事を進めるためのヒントをお伝えするものです。
自分たちの育成には
不熱心な人事部門
みなさんこんにちは。北村です。
初回の原稿を書き終え、サイトの公開を待つ間に、図らずも人事な人になってしまった、某大メーカー勤務の友人と話す機会がありましたので、前回の最後にみなさんにもお願いした 「人事に行って最初に戸惑ったことは何?」というお題をぶつけたところ、即座に返ってきた答えは「社内の人材育成には熱心だが、自分たちの育成には不熱心だったこと」でした。つまり、人事な人としての能力開発は自助努力に委ねられているということになります。
そこで今回から数回に渡り、図らずも人事な人になったら何からどのように学びはじめるとよいかをご紹介していきましょう。
まずは最も手軽に学べる「書籍」からいきましょう。人事や人財育成、研修関係の書籍は沢山でていますが、その分、どれから手をつけるか悩ましいところでもあります。
そこで、今回は定番的な書籍を中心に、読みやすく(予備知識不要)、持ちやすく(鞄に入れやすいサイズ)、買いやすい(高くない)ものを中心に選んでみました。
また、書籍の紹介とともに、筆者がインタビューに答えているサイトがありましたら併せてご紹介します。どの本を読むか判断する上でのご参考にされてください。もしかするとこのサイト類をお読み頂くだけでも、割と良い学びになるかもしれません。
人事全般を見通すための
定番書籍
まずは定番中の定番を2冊ご紹介します。
いずれも新書本です。
最初の一冊は「人事管理入門 第2版」 (日経文庫 今野浩一郎著)です。
人事管理全体を見渡すための一冊です。筆者の今野 浩一郎(いまの こういちろう)学習院大学経営学部教授は人的資源管理や雇用問題を研究されており、著書も多数出されています。
その中でも本書は1995年初版のロングセラーで、新書で手軽に手にすることができるということもあり、多くの「人事な人」が手にしている一冊です。おそらく最初に手にした人も多いのではないでしょうか。
現在の第2版は2008年に経営環境や法制度の変化に即して改訂されています。
この本がしっくり来るようであれば、同じ筆者の「マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>」(日本経済新聞出版社)も読まれると良いでしょう(値段は高いですが……)。
<関連サイト>
文系学生が勉強しない - 人材・組織システム研究室
http://www.jinzai-soshiki.com/interview/post_46.html
[対談]ワーク・ライフ・バランスのすすめ
http://www.yomiuri.co.jp/adv/gakushuin/special/sp007/page_01.html
日本の人事管理を作り直す ~世界に発信できる新しいモデルへ~
http://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=421
次の一冊は「人材マネジメント入門」(日経文庫 守島基博著)です。
筆者の守島基博・一橋大学大学院商学研究科教授は人的資源管理論や労使関係論での第一人者です。
こちらも2004年初版のロングセラーで、採用~育成~評価~処遇を中心に人材マネジメント全般について示されています。
若干専門用語も入ってきますが、それらを調べながら用語を身につけていくのも良いでしょう。
同じ著者の「人材の複雑方程式 」(日経プレミアシリーズ)も読まれている人事な人が多いようです。
<関連サイト>
守島基博さん:スペシャルインタビュー - 人材マネジメントの「経営」視点、「人」視点(日本の人事部)
https://jinjibu.jp/article/detl/keyperson/24/
守島基博氏インタビュー|人事のための課題解決サイト
http://www.rosei.jp/jinjour/list/series.php?ss=3060