機械的なマッチングが
ミスマッチを引き起こす
インターネットの普及は人材紹介の世界にも非常に大きな影響を及ぼし、企業と候補者のマッチングを素早く、大量に行うことを可能にしました。ただし、ネット転職の隆盛は企業と転職希望者にそうしたメリットをもたらした反面、最近はデメリットも目につくようになってきています。
書面に書かれた表面的な情報だけで機械的にマッチングを行い、企業と候補者がお互いをよく理解しないまま転職が成立し、結果として不幸なミスマッチを招くパターンが増加しているのです。
第二新卒のように若い人たちや職務内容が限定されたスタッフ職の人たちであれば、機械的なマッチングでも多くの機会と出会えるという点でよいかもしれません。
しかし、一定以上のポジションの場合、採用する企業側は本人の適性や志向を見極めなければならず、候補者側も同様にその会社を深く理解する必要があります。それにもかかわらず機械的なマッチングだけで転職してしまえば、うまくいくわけがないのです。
こうした不幸な転職例が目立つようになった背景には、日本の人材紹介市場が抱えている構造的な問題があります。それを理解するには欧米の人材紹介サービスとの比較が役に立ちます。
スタッフとエグゼクティブを同様に扱う
日本の人材紹介サービス
欧米の人材紹介サービスはスタッフ層を扱う「スタッフィングサービス」と、エグゼクティブ層を扱う「エグゼクティブサーチ」が明確に分かれています。スタッフィングサービスはジョブディスクリプションと呼ばれる求人票と、候補者がこれまでにやってきた仕事のレジュメをほぼ機械的にマッチングしていく世界で、エージェントはほとんど面談もせず候補者を採用面接に送り込みます。