なぜ傍から見ると疑問が残る
転職をしている人が多いのか

 転職には、いくつかのステップが必要になります。①情報収集、②履歴書、経歴書の作成、③面接対策、④条件交渉、⑤退職交渉 などが一般的です。病気になれば、お医者さんに相談、処方。法律のトラブルがあれば弁護士に相談。何事も大事なことは、その道のプロに相談することが主流になってきました。1990年代までは、そこまで普及していなかった人材エージェントという存在も、おそらく今となれば非常に一般的なものになってきたと思います。

 普段は毎日仕事で忙しいビジネスパーソンの皆さんも、人材エージェントという存在がいれば、①~⑤を彼らに相談にしながら進められるわけです。これは貴重ですよね。もちろん1人で転職活動をするのも決して悪いことではなく、知り合いの会社に転職するといったケースでは、誘われて引き抜かれていくわけですから、それもまたありだとは思います。

 ただし、この人材エージェントという仕事をしていると、「なんでその会社にその理由で転職してしまったのかな!?」と疑問が残る転職をされている方も多くいらっしゃいます。そして多くは、「誘われた」「スカウトされた」「ヘッドハント」されたから転職したというのですが、誘われたのはあくまできっかけであって、決断なさったのはご本人です。ですから、失敗しても自己責任になるわけです。

 前の上司にそのままついていって転職したが、話が違ったなどというのもよくある例でしょう。仕事とは、私が言うまでもなく人生においてかなり重大な要素だと皆さん認識しているはずなのですが、なぜか自分のことになると冷静に判断できない方が多いものです。

 あれだけ優秀なAさんが、なぜ!?という不思議な転職実例もあります。きっと皆さんのまわりでも、なぜあのAクンがBさんと結婚したんだろう?Cさんは何故Dクンを選んだんだろう?という交際や結婚の例もあるのではないでしょうか。

 転職も結婚も正解はないのですが、結婚と比べた場合に、仕事の場合は、選択肢をいくつか用意してそのなかで選択していくことが普通です(結婚の場合は、よほどモテる方以外はそうはいかないでしょうし、トラブルのもとですよね)。

 基本的なことですが、面接で他社での選考状況を言ってはいけないと思い、伏せている方がいますが、競合となる会社は質問されれば回答してかまわない企業が90%以上だと思います。もちろん企業ごとに違いますが、競合となる会社を伏せたり、隠したりすることを何か悪いことだと思われている方もいますが、人材エージェントから紹介されて受けているのであれば他社を受けるのも普通のことです。