司会 ひたすら「証拠主義」の姿勢を貫く冨永真一にも驚嘆しますが、大空に向かって飛び立っていくイプシロンを見守る八反田遙の描写も非常に印象的でした。

真山 私自身も内之浦で2度にわたって、打ち上げの始終を見守りましたからね。安全のために発射台から3キロメートル離れた場所から見物するのですが、交通規制がかかるため、朝6時にはそこへ向かう必要があったんです。にもかかわらず、1回目は発射19秒前の段階で打ち上げ中止になってしまいました。夏休み終盤の日で、300名程度は集まっていたと思います。次の打ち上げではもっと人が減っているかと思いきや、意外とそうでもありませんでした。宇宙通の人が少なくないようで、失敗は付きものと割り切っていて、1回目の打ち上げの際に撮った写真を交換し合ったりしていました。それにしても、ロケットが飛び立っていく光景は感無量です。

 最近の人生で、これほどまで清々しい気持ちになったことはありませんでしたね。