社長を育てるにも
年功序列はありえない

 こうした社長は、一朝一夕には育てられません。したがって、将来社長になれそうな人材は、新入社員の頃から発掘していかなければなりません。早い時期から大きな競争の中に入れ、そこから一番できる人を絞りに絞って上に上げていくといった取り組みが必要です。

 つまり、社長を育てるには、選抜して育成する、すなわち差をつける必要があり、その意味でも年功序列はありえないのです。

 リーダーというのは、幼稚園にも小学校にも高校にもいます。会社に入社した時にすでに優れたリーダーシップを身につけている人とそうでもない人がいます。にもかかわらず、年齢ごとに同じように扱うのはおかしいでしょう。

 プロ野球やサッカーの世界では、勝つために、年齢に関係なく、その時々でベストな選手を使います。ビジネスの世界でも勝とうと思えば、その時々の最も優秀な人材を活用すべきです。

 ただし、差をつけるにあたっては、フェアネス(公平性)が必要です。

 若いころに力を発揮する人もいれば、大器晩成型の人もいますから、最初から決まった人だけを選抜して伸ばすのではなく、その時々に最高の働きをする人材を見つける努力をしなければなりません。

 したがって、人事は常に、「次世代のリーダーはいないか?」という目で社内を見ていなければなりません。また、そうしたリーダーを見つけやすい仕組みをつくることも重要です。

 当社の場合、約5万人の社員がおり、その全員を人事が知っているわけではないので、いろいろな機会で目立つ人をチェックする仕組みもつくっています。

 その仕組みの詳細については、後の、「人を使う、人を育てる」の回で説明しますが、そうした育成の仕組み以外の部分でも、私は、常に社員を見ています。

 例えば、トイレやエレベーターホールでも、「堂々としているか」「エネルギーを感じるか」「しっかりと挨拶を返すか」「きちんとした身なりをしているか」など、さまざまな要素を機会があることに気にかけています。

 そして、もっさり、だらりとしていたらいいリーダーにはなれませんから、背筋が曲がっている人には、「姿勢をよくしろ」と言いますし、髪が長めでぼさぼさな人には、「髪を切ってこい」と言います。

 時には厳しいことも言いますが、それはリーダーになれる素質があると見込でいるからゆえ、なのです。