ENASAVE 97
住友ゴムグループのエコタイヤ「ENASAVE 97」。材料に占める化石資源比率をわずか3%に抑えて、天然資源比率を97%まで高めることに成功した技術は、他社を凌駕する。

 トヨタ自動車のプリウスと言えば、言わずと知れた世界初の量産ハイブリッド自動車。賛否両論あるものの、一説には通常のガソリン車の2倍も燃費がよく、排気ガスに占めるCO2(二酸化炭素)や窒素酸化物の量が、ガソリン車の半分以下に抑えられると言われている。

 そんなイメージが根付いているためか、「ユーザーにも環境にもやさしい自動車」として、今や国内外を問わず根強い人気を誇っている。

 しかし一方で、「本体価格が割高なため、購入コストを燃費で相殺するまでには相当走りこむ必要がある」という意見が多いのも事実だ。

 実は、そんな燃費を気にするプリウスユーザーが注目している「すごいタイヤ」があるという。それが、住友ゴムグループのダンロップファルケンタイヤが、ハイブリッド車ユーザーを対象に今年3月から発売しているエコタイヤ「ENASAVE 97」(エナセーブ キュウジュウナナ)だ。

 このタイヤ、「どこがどうすごいのか」と言えば、これまで両立が困難だった「燃費向上とエコ」を、前例がないほど高いレベルで実現していることだ。

 過去何十年ものあいだ、タイヤメーカー各社はタイヤの性能アップを目指して、合成ゴムの開発にしのぎを削ってきた。タイヤのグリップ力、ブレーキ性能など、運動性能の向上を図ることが、主な目的である。

 しかし、合成ゴムを主な材料とするタイヤは、いわば石油や石炭といった「化石資源」の塊のようなもの。企業による環境経営の重要性が唱えられている昨今、各社は天然ゴムなどの「石油外天然資源」の比率を高めたタイヤの開発競争に転じている。とはいえ、「天然資源を多く使うと、どうしてもグリップ性能やブレーキ性能が劣ってしまうという、高い壁があった」(住友ゴム工業)。

 そんな状況を、この「ENASAVE 97」は一気に打ち破った。なんと、材料に占める化石資源比率をわずか3%に抑えて、天然資源比率を97%まで高めることに成功したのである。