筆者 「しつこい」とは何回でしょうか。

設楽 この医師は4回も誘ったようでした。しかも、相手は断っているのです。私は、医師に言ったのです。

「あなたは30代後半で、社会的に地位が高いわけだから、分別はつけないといけない。ましてや、医師と看護師、医師と患者という力関係で自分が優位に立つことを利用し、しつこく迫っている。自分はどうあるべきなのか、という自覚に乏しいんじゃないのですか」

 すると医師は、「恋愛の自由があるじゃないですか!」と答えたのです。私は、その言葉に怒ったのです。

「黙れ、生意気を言うな! 不愉快だ。黙れ! 帰れ! あなたは人を見る目がない。そんな奴は恋愛する資格はない。医師のように尊敬されている地位の人が、相手の立場を考えることができないようでは失格だ」

自分の「特権」を利用して
看護師や患者にしつこく迫った医師

筆者 私が取材している限りでは、医師にはそのような人が少なくないように思えます。それに近い話は、ここ十数年で20件近くは聞きます。震災時に東北の病院でも、看護師たちからしつこく迫る医師がいると耳にしました。

設楽 医者や学校の先生、弁護士などには多いかもしれませんね。日頃「先生」と慕われる立場にいるから、女性に接近するときに「権力」を盾に迫るのかもしれませんね。

 一介の人間に、男にならないといけないのです。ヒラの男になり、話しかけないといけない。もちろん、相手が断っているのに3回も4回も誘うのは問題ですよ。許されるわけがない。

 我々も労働相談をしているから、気をつけないといけないのです。困った人の相談を繰り返し受けると、聞く態度が尊大になることがあるのです。たとえば、「就業規則違反と言われているの? 確かにねぇ、困ったねぇ……」と上から目線になることがあり得るのです。

 私は、その人に問題があると思えるときは、激しく怒鳴ることがありますが、「ハラスメント」とは言われません。「あなたは親身になって怒ってくれた。ありがとうございます」とお礼を言われることもあります。私なりに相手に共感し、同じ目線に立ち、話を聞いているつもりなのです。一緒に考え、怒り、闘い、苦労をする姿勢がないとダメ。(前述の)医者には、そんな姿勢がないのだと思います。