「BABW news」によると、カリフォルニア大学が最初に特許の申請を始めましたが、7ヵ月後に申請したMITは申請手続きを早めるための手数料を支払ったため迅速に特許を取得できました。

 したがって現在は、MITとハーバード大学がCRISPR-Cas9の技術の特許を所有していますが、カリフォルニア大学は特許庁に先に申請を始めたことを主張し、特許権の再考を訴えています。さらに、カリフォルニア大学を代表する弁護団は、特許はカリフォルニア大学のドードナ博士にあると主張し、MITに対して訴訟を起こしました。

 これに対してMIT側は、彼らが最初にこの技術を発見したことを主張しています。実際に、MITのフェング・ゼング博士の実験ノートがそれを証明していて、さらに博士らはカリフォルニア大学の方法はヒトでは実証されていないことも主張しています。

http://www.babwnews.com/2015/05/berkeley-scientists-furious-as-mit-patents-superhuman-gene-editing-tool-for-crispr-dna/

 大学間の法廷闘争は、最終的な決定まで時間が費やされる可能性があります。

 さて、米国において特許論争中のCRISPR-Cas9は、いくつかの遺伝性疾患の予防やHIVおよびがんの治療、より高い収穫の食品の開発と飢餓対策などの可能性が期待されています。一方、この技術で倫理的な問題になっているのが、人の受精卵の遺伝子を改変すること、つまり「デザイナーベイビー」への応用です。

受精卵の遺伝子改変で
簡単に生み出せるデザイナーベイビー

 米国カルフォルニアにあるスクリップス研究所(Center for Regenerative Medicine at the Scripps Research Institute)再生医療センターのジャンヌ・ローリング博士は、「Tech Times」誌に対して次のように述べています。

「私の研究室にいる高校生のインターンは、実際に「デザイナーベイビー」を生み出せますが、私たちはその能力があっても実施してはいません。一定の境界線を越えることはありませんし、それは適切ではないからです。私たちは、赤ちゃんの遺伝子を変えることができるのです。赤ちゃんの目を茶色から青色にするのは、ごく単純な作業です。私たちのラボができることは、他のラボでもできます。赤ちゃんの遺伝子変更に制約がないことが不安です」

http://www.techtimes.com/articles/52818/20150513/crispr-cas9-gene-editing-technology-patent-dispute-technique.htm