組織の環境整備で
パフォーマンスの急落を防げ

 5つの意識を発揮するためには、環境を整えることも重要だ。そもそも、これらの意識を発揮できる人は、どのような環境でも発揮できるものだが、できにくい人に対しては、環境を整えるサポートが不可欠と言える。環境を整える負担も無視できないが、それにより、パフォーマンスを上げるメンバーが飛躍的に増えるとすれば、環境を整える価値があると言えよう。

 拒絶型・伝言型症候群を解消するために必要な環境整備として、シンプルだが有効な観点は、以下の3点である。

□ 性善説に立っていることを浸透させる
□ 加点主義であることを示し続ける
□ 自発性を重んじているというメッセージを送り続ける

 ただし、環境(制度)整備以上に大切なのは、それを運用するマネージャーの言動だ。

 例えば、現場の知恵を吸い上げようと本気で行動することは、性善説に立っているという言葉を使う以上に、性善説に立ち、社員ひとりひとりの経験を重んじ、尊重していることを浸透させる。従って、のびのびと主体的に言動してくれというメッセージになる。

 評価制度に関しても、加点主義であることに加えて、日々のマネージャーの言動に、失敗から学ぶ姿勢や、失敗が成功を生むというスタンスがにじみ出ていれば、制度がそうである以上に、加点主義であるという実感を与えることができる。

 自発性を重んずるということをメッセージで送ることよりも、希望者に先着順でトレーニングをする機会や、チャレンジする機会を与えるという仕掛けを導入しただけで、メンバーの自発性を重んじているということを示すことができる。

 人事部に顕著に表れやすい拒絶型・拒絶型症候群の対処策を取り上げたが、拒絶型・伝言型症候群は、人事部に限った症状ではない。しかも、一度この症状に陥ると、パフォーマンスを加速度的に低下させる危険度が高い。ここで取り上げた事例も含めて、予兆の発見と対策の実行が急務である。

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。