また、デルタ日本支社長は、“今は国内線のみのスカイマークを将来的にアジアの国際線にデビューさせ、デルタの国際線ネットワークに組み込む”とも発言していますが、これも個人的には疑問です。

 確かにデルタのアジアでのハブ空港は成田ですが、最近は米国から成田をすっ飛ばして中国本土や韓国への直行便に注力していたからです。それを裏付けるように、デルタが所属するグローバルアライアンスの“スカイチーム”には、日本の航空会社が入っていない一方で、中華航空、中国東方航空、中国南方航空、大韓航空と、中国と韓国を代表する航空会社が所属しています。

 従って、デルタの立場から考えると、アジアの国際線は中国、韓国の提携先を優先するのが自然であり、スカイマークを国際線にというのはリップサービスとしか思えません

※「デルタの立場から考えると、アジアの国際線は中国、韓国の提携先を優先するのが自然であり、スカイマークを国際線にというのはリップサービスとしか思えませんについて

デルタ航空:「デルタ航空は、世界の主要な市場での競争力を高めるため、他の航空会社と提携する戦略を取っています。アジアでは中国、韓国でも提携関係の強化を推進していますが、それは日本の提携パートナーに求めるものとは異なり、どちらを優先させるという問題ではありません。例えば中国のパートナーエアラインとの提携関係を例にあげると、中国のパートナーが持つ中国内のネットワークとデルタが米国内に張り巡らせている国内線ネットワークをつなげることにより、双方の地方へのまたは地方からのお客様のニーズを吸い上げることができます。デルタが単独で中国の地方都市に乗り入れるよりも、効率よく路線を拡大することができるからです。同様に、デルタがスカイマークに期待するのは、その充実した国内線のネットワークであり、デルタが提供できるのは、米国からの国内線への乗り継ぎのお客様を運んでくることです。近距離国際線に関する森本の発言を引用されていますが、それはスカイマークが将来的に国際線運航を望んだ場合の可能性について述べたに過ぎず、その場合はお手伝いができるという主旨です。一部の報道ではその部分だけが誇張されていたため、それをご覧になられて誤解されたのではと思われます。」

羽田にハブを移したいという
デルタの思惑

 もちろん、この2年でアジアの状況はだいぶ変わり、中国と韓国の経済が低迷する一方で、アベノミクスで日本経済はだいぶ良くなってきました。そして何より、日本への外国人観光客の数が激増を続けています。

 そう考えると、デルタがスカイマーク支援に名乗りを上げた背景には、中国や韓国にシフトしつつあったアジア戦略を修正し、日本でのビジネスを再拡大しようという思惑もあるはずです

※「デルタがスカイマーク支援に名乗りを上げた背景には、中国や韓国にシフトしつつあったアジア戦略を修正し、日本でのビジネスを再拡大しようという思惑もあるはずですについて

デルタ航空:「デルタ航空では、5年ほど前から、日本を経由せずに中国、韓国と米国を結ぶ直行便を増やしていますが、これはワンストップよりもノンストップを望むお客様のニーズに応えるためと、航空機の性能が上がり、昔のように途中で給油をする必要がなく、長距離の運航が可能になったためです。直行便の増加は、あくまで中国および韓国と米国間の需要に応じた戦略であり、デルタ航空の日本向けの事業戦略とは関係ありません。例えば運航便数を比較すると、中国での運航便数は週42便、韓国は週14便、日本は週168便と、圧倒的に日本が多く、また売上げ規模もアジアでトップを誇っています。日本と米国を往来する双方向の渡航ニーズは、ビジネス需要、レジャー需要ともに長年にわたりデルタ航空の太平洋路線の主軸となるもので、今後もその重要性に変わりはありません。また、デルタ航空は、日米路線のほか、日本からハワイ、グアム、サイパン、パラオ行きの便を運航しておりますが、これらの路線は非常に成功しており、日系航空会社を上回るシェアを維持しています。」

 そして、デルタにそうした思惑があるなら、スカイマークとの提携をテコにハブ空港を成田から羽田に移そうとするはずです。実際、デルタ日本支社長はメディアに“日米交渉が決着すれば、2~3年内に羽田から昼間時間帯にデルタ便を飛ばせるようになり、スカイマーク便とも接続できる”、“羽田空港の発着枠が増える2020年をめどにデルタの拠点を羽田に移したい”と発言しています。

 しかし、もしデルタがそれに向けて、スカイマークが持つ羽田の国内線発着枠の国際線への転用や、羽田の国際線枠の早期獲得を目指して日本にゴリゴリと要望してきたら(前者についてデルタ日本支社長は否定していますが)、スカイマークの再生には貢献するかもしれませんが、羽田の発着枠は国益の観点から配分されるべきなので航空産業政策の観点からは問題です。