経済のキャッシュレス化によって、銀行が窓口での現金取り扱いを停止してしまう──。日本では当面考えにくい話だが、北欧ではすでに現実のものとなりつつある。
ノルウェーでは、消費者の現金決済比率はたった6%だ(米国は47%)。残りは、クレジットカード、デビットカード、モバイル決済などの電子決済である。
昨年10月に、ノルウェー2位の大手行ノルデア銀行は、オスロ中央駅支店を除く全店舗において窓口での現金受け渡しを停止すると発表した(ATMでの現金受け取り、支払いは当面継続)。ノルデア銀行幹部は、「社会は一段とデジタル化に向かっており、他の銀行も追随するだろう。時間の問題だ」と地元紙に話している。
スウェーデンでは、大学生の多くが現金を持たずとも日常生活に問題はないと考えている。教会もキャッシュレス化だ。日曜日に信者たちが教会に集まり、寄付の時間になると、大きなスクリーンに教会の口座番号が映し出される。
ストックホルムの街中で雑誌を販売しているホームレスも、モバイルカードリーダーを使った電子決済で代金を受け取っている。あるホームレスはそれを使うようになってから、この2年で売り上げが30%伸びた。通行人の多くが現金を持っていないからだ。
こうした状況なので、現在スウェーデンの多くの銀行がATMを撤去中だ。また、大手銀行の半分以上の支店が現金を準備していない、または現金を顧客から受け取らない状態になっている(米紙「ニューヨーク・タイムズ」)。