3月29日、「集団的自衛権の行使容認などを柱とする安全保障関連法は29日、施行された」「集団的自衛権容認、専守防衛を大きく転換」などの報道が日本の各ニュースサイトに登場し、戦後における日本の安全保障政策は、いよいよこれで方向性を大きく変えたと感じられた。
昨年9月の通常国会で、自民、公明両党は採決を強行し、安保関連法を成立させた。安保関連法案に対しては、中国のマスコミはほとんど大きく取り上げることはなかった。
一方、日本との釣魚島(日本名・尖閣諸島)を巡る争い、南シナ海での中国の軍事施設の建設に対するアメリカの軍艦、軍機による示威行為、安倍首相の日本国内外での関連発言、日本とフィリピン、ベトナムとの軍事関連の行動などについてはきわめて詳しく報道した。
そのため今年の中国国会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議全国会議=両会)では、軍事費の伸び率が関心重点事項の一つとなっていた。ロイター通信などの外国メディアは事前に、「今年は軍事費が大幅に増加する見込み」と予測し、さらに香港で発行している『南華早報』(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)が「20%増もあり得る」とまで断定した。
しかし、全人代で決めた今年の中国の軍事予算の伸び率は7.6%で外部の予測を大幅に下回り、2006年以来、2010年の7.5%に次ぐ低さだった。また、ここ数年で初めて10%を下回った。
南シナ海緊張と膨大な退役費でも
軍事予算を伸ばさない理由
外国メディアの推測ミスは主に一種の慣性思考に沿ったもので、ここ数年の中国周辺の危機を重大だと認識しているためだ。とりわけ南シナ海(南海)は一触即発の状況で、米国は絶えず南シナ海で挑発行動を行い、戦艦を巡航させており、両会開幕前夜も原子力空母を南シナ海に再派遣し、同盟国のフォローアップを鼓舞した。