潜入「黒タク講習」

 「桜にN、日本交通に集う私たちは……」と、黒タク講習会の始まりは全員が起立しての社是と社訓の唱和から。この日、日本交通本社会議室に集まったのは36名のタクシードライバーです。全体的に年配の男性が多い印象ですが、中には比較的若い運転手や女性の姿もあります。

 続いて、「皆さん、おはようございます!」と日本交通の川鍋一朗社長の講話が始まりました。全員スーツのボタンをきちんと留めて、姿勢を正して聞いています。

 講話の内容は、「黒タク乗務員としての心構え」。一人ひとりが黒タクの運転手として誇りを持って仕事をすることで、乗客から「また乗りたい」と思ってもらえる。その積み重ねで日本交通の黒タクは予約や法人契約などで、「選ばれるタクシー」となり、一人ひとりの営業収入も上がっていく。それには日々、誰もが手を抜くことなく、マニュアル通りの接客、対応を続ける必要があり、そのために抜き打ちチェックなども行っている、といった内容です。

 川鍋社長は、「皆さまは今日、今ここで『黒タクの乗務員として誇りを持ってハンドルを握る』ということを一人ひとり私と約束していただきます。私のほうは皆さまが、誇りを持って働くにふさわしい場を維持、発展させ続けることをお約束します」と講話を締めくくりました。

 続いて研修センター徳山正敏さんによる座学です。徳山さんは2001年から始まった日本交通の黒タクの歴史と共に、黄色タクシー(通常のタクシー)との違いを解説します。

 午後は黒タクがずらり並ぶ駐車場で接客のロールプレイングです。身だしなみ、車外待機の姿勢から荷物の運び方、乗客の案内まで、教官の見本は流れるようにスムーズ。受講者たちは、教官から細かな指摘やアドバイスを受けながら、何度も基本動作を繰り返していました。