選ばれし運転手たち

 講習終了後、講師をなさっていた徳山さんと総合営業部の望月英樹さんにお話を伺いました。

 徳山さんは、「そもそもこの一日講習は誰でも受けられるわけではありません」と話します。というのも、この黒タク一日講習の受講は、経験1年以上で事故やクレームがなく、無線了解率(無線の配車要請に対応する比率)が高いなど、優良ドライバーであると各営業所の管理者から推薦を受けた乗務員に限られるからです。つまり、この講習以前に厳しい選抜があるのです。

 また、本人のやる気も重要です。「黒タクはその趣旨をしっかり理解して『乗りたい』と手を挙げた人だけに乗ってもらうものなので、無理強いはしません」と徳山さん。川鍋社長も黒タク講習が始まってから欠かすことなく、280回以上、延べ8800人もの受講生に黒タクに対する思いを話してきたといいます。

 ですが、黒タク乗務員としての資格を得ても、営業所によって黒タクの保有台数が決まっているため、空きがなければすぐに黒タクに乗れるわけでもないそうなのです。

 また、きちんとした接遇、対応ができているかを社員が抜き打ちで評価し、サービス品質は常に評価され、「基準を下回った人には黒タクから降りてもらう」とのこと。

 日本交通がこれほどまでに黒タクの品質管理にこだわる理由は、実は過去の苦い経験からのことでした。