自分の時代とは様変わりした
就職プロセスを知っておく必要

 昨年3月に「就職に勝つ! わが子を失敗させない会社選び」という本を刊行しました。現役ビジネスマンである著者が、わが子(娘)の就職活動に伴走し、ルポとしてまとめたもので、このダイヤモンド・オンラインで連載した記事の書籍化です。

 50代の著者は大手金融機関に勤務しており、かつては採用責任者を務めたこともあります。

 今の就職活動、採用システムは、私たちの時代とはすっかり様変わりしています。インターネットによる企業情報の発信や収集、エントリーの仕組みや、大学3年生の秋から始まって大学4年生の夏前に決着するというスケジュール感など、せめて親に知っておいてもらいたい、というのが企画した動機でした。同時に、長い就職活動の間に揺れる子どもの気持ちや、徐々に固まっていく志望、その変遷なども詳細に書かれており、なかなか興味深い内容に仕上がったと思っています。

 それがいくつかの大学の目にとまり、保護者向けの講演の依頼が著者と、編者である私に持ちかけられた、というわけです。

 親がわが子の就職にかかわるべきなのか。書籍の企画段階で、社内にも否定的な意見もありました。それは、どうやら「モンスター・ペアレント」的な歪んだ関わりを想起させたからであるようです。

 確かに昨今、過剰介入する親もいなくはありません。大手企業の入社式に、「なぜ私が出席できないのか」と母親がゴネて、人事担当者が悩まされる、などという信じられない実話もあります。もちろん、そういう振る舞いは論外です。

 親がわが子の就職にかかわるというのは、そういうことではなく、経験に基づく正当・妥当なバックアップはあり得るし、こういう厳しい環境下では積極的にバックアップしてもいいのではないかと思います。

 それでも、「親が口出しすべきではない」という意見も当然あるでしょうし、子どもの方も「勝手にやるから、余計なことを言わないでくれ」というタイプも少なくないでしょう。むしろ、そういう学生が望ましいし、頼もしいともいえます。