その姿をわが子にダブらせてついつい名刺を出すと、どうなるか。翌日から、「投資用マンションを買え」「リターンのでかい投資信託を買え」というようなテレアポ攻勢が始まるわけです。
もらった名刺が見込み客のデータベースになるということを、当の若者はわかっているのでしょうか?おそらくは、用途は伝えられていないでしょう。
講演中にこのことを思い出したのは、親にしかできない就職支援って何だろう、と考えていたからでしょう。
厳しい就職状況ですから、選り好みをしてはいられない立場の学生もたくさんいます。よくわからないままにブラック企業に入ってしまう若者も出てきます。それに警告を発することを学校に求めるのはかなり難しいことでしょう。
親のできるぎりぎりの支援は、例えば、そういうことかもしれません。日頃のリレーションがなければ、それも難しいことは言うまでもありません。
親の役割ということで、ブラック企業への入社阻止を挙げるのは、かなり極端な連想であるとは思いますが、その必要性の一例としてあえて挙げてみました。
いま優秀な学生を囲い込みたい企業は、「大学で社会常識、ビジネス常識を教えよ」と迫ります。この声に応えるように文部科学省も「就業力向上」であるとか「キャリア教育」を大学に強いています。
一方の大学は、そうした声に応えようとしつつも、カリキュラム策定に苦慮しているようです。「社会人としての基礎教育は、本来、企業が自分の責任において実施すべきものではないか?」というホンネも漏れ聞こえます。
どちらの言い分も理解できます。きっと、どちらもが応分の努力をするべきなのだと思います。
ただ、二項対立の行き場のなさから、少し距離を置いて見てみると、「就職における親の役割」には第三極として考えてみる価値があるのではないか、と思われます。「働くリアル」を豊富な実体験に基づいて語るのにもっとも相応しいのは、もっとも身近なオトナである親、だと思うからです。
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