そして、その中心は、岡田代表を含む当時民主党だった政治家たちだった。例えば、菅直人元首相はかつて著書で「選挙によって、ある人物なり、ある党に委ねた以上、原則としてその任期一杯は、その人物なり党の判断に任せるべきである。間違っていたら、次の選挙で交代させればいい」(菅直人『大臣』岩波新書)と主張していた。いわば、民主主義を「交代可能な独裁」と定義していたのだ。

 民主党政権のスローガンは「政治主導」であり、その肝は「任期中の首相の強力なリーダーシップ」だったはずだ。その考え方に基づくならば、安倍政権の安保法制を巡る「強引」とされる国会運営は全く問題にならない。彼らが野党となった今、安倍首相の強力なリーダーシップ行使を否定するのは、感情的な反発からに他ならない。

 岡田代表らは、国会の外で「戦争は嫌だ」「命を守れ」「戦争法案絶対反対」「今すぐ廃案」「国会だけが民主主義じゃない」「選挙だけが民主主義じゃない」などと叫ぶデモに参加した。だが、デモに参加したのは国民の3.4%に過ぎず、サイレントマジョリティは、デモが嫌いなのである。

 中流の人たちは、市民運動やデモなど暇な人間がやることだと思っている。多忙な人や、経営が大変な中小企業の人ほど、こういう運動が嫌いなのである。彼らは、デモが広がれば広がるほど、「俺らはそんなに暇じゃない」と、シラけてしまう。デモは、彼らに不快感を与えている。

 参院選の前、再び「戦争法案反対」などのデモは広がっていったが、どんどんサイレントマジョリティの票が逃げていった。しかし、感情的になってしまった岡田代表は、そのことに全く気づかなかったのだろう(第115回・下・p3)。

岡田代表が先手を打って
増税延期を打ち出した戦略ミス

 そして、「消費増税延期」を巡る攻防における、岡田代表の誤りである。岡田代表は「党首討論」で、2017年4月の消費税率10%への引き上げについて、「先送りせざるを得ない」と主張し、「2019年4月まで消費増税の3年間延期」を首相に迫ってしまった(第132回)。

 安倍首相より先手を打って「増税延期」を打ち出したことは、参院選のための戦術として合理性がないわけではなかった。駆け引きの主導権を握れる可能性があったからだ。だが、それは首相が増税を躊躇った場合である。岡田氏の狙いは、首相が躊躇いなく増税延期を決断したことで外れてしまった。

 安倍首相は2014年12月に「消費増税を延期する」ことを理由に衆院解散した前歴がある(第94回)。参院選を前に、首相が再び増税延期を決断するという見方は根強かった。