羽鳥 当社としてはその時期を見越して、第一線の大手IT企業で活躍していたエンジニアを招き入れるなど、開発体制も強化中です。リアルのインフラにネットビジネスをどれだけ載せられるか。オムニチャネル的な感覚をより強くしていきたいと考えている真っ最中です。

クルマ流通業界世界ナンバーワンを目指して採用戦略を変革

多田 エンジニアを招き入れるなど人材についてお話しいただきましたが、人材戦略、採用戦略という面では今後、具体的にどのような取り組みをされますか。

羽鳥 先ほどお話ししたように20年位までに自動車業界は大きく変わると思っていますので、ここで勝負をかけられるかが鍵になります。

 当社としては2020年までにクルマ流通業界世界ナンバーワンを目指そうと目標を掲げています。それだけのスピード感で成長を加速させるため、外部にいる優秀な人材を招いて一気に勝負をかけたいと思っています。現在は新卒を毎年500名前後受け入れていますが、新卒採用では補えないスキルが必要となっています。

 営業としての経験を持っている人材ももちろん必要ですが、IT関連や企画面にスキルを持っている人材、例えば今までは採用してこなかったコンサルティングファーム出身者などにも来ていただきたいと考えています。そういった今まで採用してこなかった領域の人材を採用するためにダイレクトソーシングチームを立ち上げました。

多田 主体的に採用活動を行う、ダイレクトソーシングを積極的に取り入れるようになったのはなぜですか。

羽鳥 正直にお話しすると、当社はまだまだ「大きな中古車屋」としか見られていないのが現状です。自動車業界そのものが衰退している認識がある中で、そもそも転職先として選択肢に入っていないこともあります。ですから、これだけダイナミックで面白いマーケットがあることを直接伝えていくことで、優秀な人材に加わっていただきたいと考えています。

 優秀な社員が外部から加われば、社内のカンフル剤になりますから、優秀な人であればどんどん採用していくつもりです。当社では役職と評価は違うものとして扱っていて「役職はフォーメーションの1要素なので、年中変える。ただし、評価は別」だと伝えています。管理職の人間にスタッフとして活躍してもらう場合も、入ってきたばかりの新人がリーダーを務める場合もある。年がら年中役職は変わるので、リーダーだから偉い、という考えはありません。

多田 役職が常に変化するという体制は非常に興味深いですね。新卒、中途を問わず、どちらにとっても刺激的な環境ですよね。「ガリバー」という社名もそうでしたが、「IDOM」という社名にもやはり組織風土が表れているという感じがします。

羽鳥 まだまだだな、とは思います。自動車業界のリテールのリーディングカンパニーと言われることはありますが、ファーストリテイリングやソフトバンク、ニトリといった企業と比較すると、まだまだ成長しないと。この3~4年が本当に勝負で、今後4年間で徹底的にと社員にも伝えています。まだまだスピードを上げていかないといけません。

 4年間でクルマ流通業界世界ナンバーワンというのは途方もないチャレンジだと思いますが、会社を長く牽引してきた会長を見てきましたから。会長は少し頭のネジが飛んでいるんです(笑)。根っからの仕事人間だったのに、間寛平さんがやり遂げた、マラソンで世界一周するアースマラソンを、70歳を越えて走破してしまう人間です。あれは、70歳のおじいさんでも「やるぞ」と覚悟を決めればパリから東京まで走れるんだ、ということを伝えたかったのではないかと思います。パリから東京まで行くんだ、と考えるととても精神的に持たないけれども、常にマイルストーンを設けてそれを繰り返していくと、結果的に達成できるんだと。

 父のそのスピリッツは忘れたくないですね。社員にも「厳しい環境なので、働きやすさは目指さない。その代わり、働きがいは世界一を目指す」と伝えています。でも、まだまだですね。

多田 ずっと「まだまだ」と言われているのが印象的です。これからもずっと「まだまだ」だととらえ、現状に満足せずに事業展開をされていくのだろうなと感じました。大転換期の御社の成長が楽しみです。本日はありがとうございました。