ゼネラル・エレクトリック(GE)は1997年、GEキャピタルの世界各地のビジネス部門にビジネスプロセス・サービスを提供するGEキャピタル・インターナショナル・サービシズを発足させた。これがジェンパクトの始まりである。その後、金融部門を超えてGEグループ全体にサービスを広げ、2005年1月にスピンアウトを果たす。以来、GEのみならず各国のグローバル企業に向けて、最先端のデジタルソリューションを活用したトランスフォーメーション・サービスを提供してきた。「終わりなき変革と革新」をモットーとしてきたGEのDNAを受け継ぐジェンパクトに、DXの要諦を聞く。

GE発のトランスフォーメーション・
サービスプロバイダー

編集部(以下青文字):ジェンパクトの原点は、ゼネラル・エレクトリック(GE)のシェアードサービスセンター(SSC)でしたが、いまではグローバルなデジタル・トランスフォーメーション・サービス企業へと進化しています。

ジェンパクト流DXの核心<br />
ジェンパクト 代表取締役社長
田中 淳一
JUNICHI TANAKA
ジェンパクト(日本法人)代表取締役社長、ならびにジェンパクト(アメリカ本社)シニアバイスプレジデント。早稲田大学理工学部電子通信学科を卒業。在学中はAI・デジタル分野を研究。その後、野村総合研究所、EDS を経て、アクセンチュア、KPMGコンサルティング等のパートナー・執行役員を経て、2018年10月より現職。アナリティクス、AI、RPAなどのデジタル技術を活用したビジネス変革を通じ、企業価値の向上を推進。また、日本RPA協会専務理事、経営情報学会副会長を兼ねる。

田中(以下略):「我々は何者か」と申し上げると、一企業内の業務プロセスから、複数の機能や地域にまたがるSSCやグローバルビジネスサービスといった組織まで、「ビジネスプロセスの最適化」というソリューションを提供してきました。

 ご案内の通り、GEのSSCとして1997年にスタートしたので、当初はリーンシックスシグマを活用したビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)が中心でしたが、現在は、この経営課題から必然的に派生してくるロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)やAIによる自動化、アナリティクスなども提供しています。

 もちろん、デジタル・トランスフォーメーション(DX)も我々の得意とするところです。GE内の一部門であった頃にはDXという言葉はありませんでしたが、何しろ母体であるGEは「変革に終わりはない」という信条の組織ですから、実際やっていることはまさしくDXでした。ですから、ジェンパクトのDNAにはDXが刻み込まれている、と言っても過言ではないでしょう。

 しかしながら、いまのように先が見えない時代にあって、我々はお客様と同じ方向を目指し、同じ問題に直面したり悩んだりしています。ですから、学び合い教え合うパートナーとして、またDXを後ろから推進するサポーターとして、お客様を支援しています。

 創業以来、世界各国でさまざまな種類の企業変革や業務改革をサポートしてきた経験から、DXについてアドバイスをお願いします。

 DXと一口に言っても切り口は複数あります。まずビジネスプロセスの最適化という観点から申し上げると、個々の業務の細部に至るまで理解しておく必要があります。次いで、自社が保有している多種多様なデータについても把握しておくべきでしょう。

 これら2つが揃って初めてスタートラインに立てるのですが、意外なことに、そのどちらか、あるいは両方とも中途半端なことが少なくありません。我々がBPOを引き受ける時、こうした洗い出しを徹底的にやります。だからこそ「既存のコストを半減させると同時に、サービス品質を大きく改善します」と約束できるわけです。

 繰り返しになりますが、我々の前身は、オペレーショナル・エクセレンスを追求し、そのために改善や改革を実践してきた組織であり、それゆえ課題や状況によってはデジタル技術が必ずしもマストではない、時には不要とすら考えています。とはいえ、いまの時代、デジタル技術を使わずに問題を解決できるケースは極めて稀ですし、利活用したほうがより高い成果が得られるはずです。

 ただし、昔から指摘されてきたように、いくらデジタル・トランスフォーメーションと呼ばれようとも、デジタル技術はあくまで手段でしかなく、また必要な作業とはいえ、デジタル化が目的になってはいけません。それはけっして解ではないのです。