2005年に都立初の併設型中高一貫校となった白鷗(台東区)が、高校からの募集を停止することにより、都内の公立全校が完全一貫化する

共学化で募集対象を2倍に広げる

 以前触れたように、今年4月模試の参加者状況を見る限り、中堅・中位校への志願者は増加基調にある。それでも、すべての学校が順調に志願者を確保できるかといえば、必ずしもそういうわけではない。やはり学校ごとに温度差はあり、その取り組み方にも違いがある。

 現在発売中のダイヤモンド・セレクト2021年8月号「本当に子どもの力を伸ばす学校」では、「偏差値だけでは分からないコロナ時代の志望校選び」を特集、それに関連して情報教育国際教育受験者数ランキングについてはこの連載でも取り上げてきた。

 今回は、「首都圏2021年入試の結果と22年入試の展望」の記事中でも取り上げた私立校の生き残り策について考えてみよう。

 ここ数年を見ても、2019年のドルトン東京学園やさいたま市立大宮国際、2021年の広尾学園小石川のような学校のリニューアルや新設、武蔵野大学(2019)や品川翔英(2020)、光英VERITAS(2021)のような女子校の共学化、茨城県立高校の中学校併設といった中高一貫校を巡る動きはいくつもあった。

 生徒募集に困難を感じると、共学化により募集対象を2倍化する手に出る学校はこれまでも多かったし、これからも絶えることがないだろう。偏差値ランクごとに受験者がどのくらい集まっているのか、その現状を見てみると、「四谷大塚合不合80偏差値」で偏差値30台や模試で志願者が足りず“偏差値なし”という学校で、実際に受験者を集めることができているのは共学校に偏るきらいがあるからだ。

 次ページの表に示すように、2022年以降も同様の動きは止まらない。少子化は続いており、生徒確保のためには現状に甘んじているわけにはいかないからだ。