首都圏「私立中高一貫校」のICT教育の現状、全121校をリサーチ幼稚園から大学院まで同じキャンパス内に揃う玉川学園(東京・町田市)。ICTカリキュラムは小中高5年間連続で独自のものを組んでいる

英語など語学力も含む「国際教育」と並んで保護者の関心が高いのがデータサイエンスをはじめとしたICT関連の能力を身に付けるための「情報教育」である。首都圏私立中高一貫校121校から寄せられたアンケート結果も交えながら、中高一貫教育のメリットを生かしたカリキュラムがあるのかなど、志望校選びのチェックポイントを見ていこう。(ダイヤモンド社教育情報)

新規に高校で必修教科「情報I」導入へ

 前回はコロナ禍で海外渡航が不可能となり、その構想力が問われている「国際教育」を話題に取り上げた。今回は、それと並んで保護者の関心が高い、情報化時代に「生きる力」を養うための「情報教育」について考えてみよう。

 昨年から、小学校ではプログラミングの授業が始まっている。小中高と順次導入されている新しい学習指導要領に基づくものだが、これはなにも不足しているというシステムエンジニア(SE)のようなIT人材を確保するためにということばかりではない。むしろ、これからの時代を生きるための素養として、情報通信技術(ICT)の仕組みを知り、活用できる力を育もうというものである。

 中学の技術・家庭科の授業でも引き続き情報の技術として教えられ、高校でも、2022年から「情報」という教科として導入が始まる。25年からは共通テストにも入る予定であり、大学進学を考える上でも必須の知識となる。

 いまの親世代には、この教科を習った記憶はないだろう。03年からその前身となる「情報」A~Cが始まっているのだが、その10年後に「情報の科学」と「社会と情報」の2科目に再編されてからも、8割方の生徒はプログラミング抜きの後者を取っており、これから導入されようとしているものとは内容がだいぶ異なる。

 ということで、これからの中高生が学ぶことになる「情報」を、中高一貫校はどのようにして自校独自のカリキュラムにしようとしているかが注目されることになる。