野口悠紀雄
第20回
日銀は、5月23日の政策決定会合で、格別の追加緩和措置をとらないことを決定した。しかし、今後一層の金融緩和を求める圧力が高まる可能性が高い。そう考えられるいくつかの理由がある。

第19回
5月16日の日銀の国債買い入れオペでは、初の「札割れ」となった。つまり、金融機関は、国債を保有し続けることが有利と考えているのだ。そうなると、国債価格が暴落したときに、大きな問題を引き起こす。

第18回
2001年に量的緩和を始めたとき、購入額が野放図に増えないために導入した日銀券ルール。このルールはすでに破綻しているが、重要なのは、現在行なわれている政策のメリットとデメリットを客観的に評価することである。3つの観点から見てみよう。

第17回
日本銀行は、4月27日の金融政策決定会合で、追加金融緩和策を決めた。他方で、2012年3月の全国消費者物価指数2ヵ月連続で上昇した。しかし、これは、日銀の金融緩和の結果ではない。それとはまったく関係がない原因によって消費者物価が上昇しているのである。

第16回
「新興国工業化の影響は、世界的なもので、日本だけがその影響を受けるはずはない」と反論されることがある。ではアメリカの消費者物価が上昇しているのはなぜか。アメリカも新興国工業化の影響を受けているはずだ。

第15回
2009年以降、サービス価格の下落があった。07年以降、ほぼ継続してプラスであったが、09年6月から11年3月までかなり顕著なマイナスとなった。総合指数の下落幅増大にも寄与している。今回は、こうした変化がいかなる要因によって生じたのかを考えることとしよう。

第14回
需要の動向と消費者物価の動向は、正反対だったことは、前回までのコラムで解説した。これは、「需要が不足するので物価が下がる」という考えが誤りであることを、明確に示している。

第13回
これまでの連載で、「量的緩和はマネーストックにほとんど影響を与えず、消費者物価にも直接影響しない」ことを述べた。だが、データを見ると、円安によって輸入物価を引き上げている。

第12回
2001年に行われた量的緩和はマネタリベースを増加させたがマネーストックは増加させず、物価にも影響しなかった。2008年の経済危機後、アメリカでもQE(量的緩和)が行われたが、結果は同様だった。

第11回
第10回連載では日銀が銀行から国際を買い上げることができたのは、利子率が低下してきたからであると述べた。では日銀が直接政府から購入、つまり日銀引き受けをすればどうか。検討してみよう。

第10回
景気回復は望ましいことだ。そのために、政府や日銀はさまざまな対策をうっている。しかし、よくよく考えれば、景気回復すると国債が暴落する可能性がある。一体、どういうことなのだろうか。

第9回
政府・日銀の為替介入をきっかけに円安が進み、2003年頃から輸出主導型経済成長が実現した。今、当時と同じような金融緩和が行われようとしている。そのためにも当時の金融緩和過程を詳細に見てみよう。

第8回
2001年から実施された「量的緩和政策」。しかし、ベースマネーは伸びたがマネーサプライは低迷し、GDPや物価に関しても効果がなかった。真の目的は難だったのか。そこで立てられる仮説は真の目的が「国債購入」ではなかったのか、ということだ。

第7回
2月14日に日本銀行が行った金融緩和策で、長期国債の購入限度額が拡大、株高が進み円高に歯止めがかかった。一見、この事態は好ましいように思えるが、本当にそうなのだろうか。

第6回
対中国輸出は日本にとって重要であることは言うまでもない。ところが、中国経済に占める日本の輸出のウエイトは、経済危機前に比べると低下している。今後、対中輸出は日本を支えるほどの存在になるのだろうか。

第5回
日本の電機産業は軒並み大赤字の予想だ。基幹産業として位置づけられている電機産業は、はたして生き残れるのだろうか。日本の貿易構造の変化から、電機産業と日本の産業構造の将来を推察した。

第4回
日本経済を支えてきた自動車産業。その自動車産業が補助金なしでは成り立たない産業、つまり“農業化”してしまった。いったいどういうことなのか。

第3回
2011年の貿易赤字になったのは、日本経済が「ニューノーマル」の時代に入ったということだ。今後、日本経済は「ニューノーマル」の経済条件に対応していかなくてはならない。

第2回
野田佳彦首相は消費税増税に政治生命を賭けるとまで宣言し、増税へ向けて突き進む。財政再建が実現できるというのがその理由だ。しかし、果たしてそうなのだろうか。

第1回
東日本大震災でもっとも大きな変化は貿易収支が赤字に転じたことである。そして、この赤字は一時的なものではなく、今後、続いていくことになる。これは経済政策全般に大きく関わる重大な変化だ。
