欧州金融危機の影響で資金が安全資産と見なされている日本国債に流れ込んでいるため、長期金利が著しく低い水準になっている。先週の10年債金利は一時0.815%まで下げて、9年ぶりの低水準を記録した。0.8%割れもありうると考えられている。
金利は価格の逆数で表示されているため、異常な事態が生じているのを実感しにくい。しかし、これは、バブル的状態である。
金融機関の国債需要が強いため、
札割れになった
5月16日の日銀による国債の買入(資産買入等基金)オペでは、買入予定額6000億円に対して、応札額が4805億円にとどまり、「札割れ」となった。同基金を通じた国債買入オペの札割れは、初めてである。
つまり、金融機関は、国債を保有し続けることが有利と考えているのだ。現在、日本銀行は国債の購入を継続しているが、このような方式が行き詰まる可能性については、すでにこの連載で指摘した。それが現実化したわけだ。金融緩和策によってマネーストックを増やせないだけでなく、マネタリーベースを増やすことさえ、ままならない状態になっているのである。
ただし、これはそれほど深刻な問題とは考えられない。そもそも、日銀が国債を購入する必要性がないと考えられるからである。
国債バブルが崩壊すると
金融機関の純利益が吹き飛ぶ
より大きな問題は、国債バブルが崩壊することだ。これは、国債価格の暴落を意味する。