野口悠紀雄
第8回
2001年から実施された「量的緩和政策」。しかし、ベースマネーは伸びたがマネーサプライは低迷し、GDPや物価に関しても効果がなかった。真の目的は難だったのか。そこで立てられる仮説は真の目的が「国債購入」ではなかったのか、ということだ。

第7回
2月14日に日本銀行が行った金融緩和策で、長期国債の購入限度額が拡大、株高が進み円高に歯止めがかかった。一見、この事態は好ましいように思えるが、本当にそうなのだろうか。

第6回
対中国輸出は日本にとって重要であることは言うまでもない。ところが、中国経済に占める日本の輸出のウエイトは、経済危機前に比べると低下している。今後、対中輸出は日本を支えるほどの存在になるのだろうか。

第5回
日本の電機産業は軒並み大赤字の予想だ。基幹産業として位置づけられている電機産業は、はたして生き残れるのだろうか。日本の貿易構造の変化から、電機産業と日本の産業構造の将来を推察した。

第4回
日本経済を支えてきた自動車産業。その自動車産業が補助金なしでは成り立たない産業、つまり“農業化”してしまった。いったいどういうことなのか。

第3回
2011年の貿易赤字になったのは、日本経済が「ニューノーマル」の時代に入ったということだ。今後、日本経済は「ニューノーマル」の経済条件に対応していかなくてはならない。

第2回
野田佳彦首相は消費税増税に政治生命を賭けるとまで宣言し、増税へ向けて突き進む。財政再建が実現できるというのがその理由だ。しかし、果たしてそうなのだろうか。

第1回
東日本大震災でもっとも大きな変化は貿易収支が赤字に転じたことである。そして、この赤字は一時的なものではなく、今後、続いていくことになる。これは経済政策全般に大きく関わる重大な変化だ。

第42回・最終回
介護産業の確立には「公的な仕組みで運営する」という、現行制度の基本的な発想を変えることが重要である。その上で、税制や金融の仕組み、製造業を直接に介護産業へ転換する仕組みを構築するべきである。

第41回
第40回で労働力不足に陥る可能性を述べた。今回はさらに労働力率の推移を加味して労働力の過不足を予測した。その結果、日本がとるべき雇用政策の方向性が見えてきた。

第40回
製造業で雇用が減少し、介護医療分野では雇用が増加する。一方で日本全体は高齢化で労働人口は減少する。これらはバランスするのか、それとも労働力過剰になるのか。多角的に分析してみよう。

第39回
有料老人ホームは入居者が集まらず採算ラインに達しないところがある一方で、特別養護老人ホームは2~3年入居待ち。介護施設はその種類によって状況が大きく異なる。どのような問題があるのだろうか。

第38回
1990年代の後半以降、日本で起こった基本的な構造変化は、製造業の雇用が減り、介護の雇用が増えたことである。同時期に生じた日本の所得低下の基本的な原因は、製造業よりも平均賃金の低い介護の雇用が増加にあった点に注意が必要だ。

第37回
日本の製造業は最悪の状況にある。要因は東日本大震災やタイ大洪水などであるのは事実だが、これは一過性のものだ。90年代以降続いている構造的な問題に注目すべきである。

第36回
この10年程度の間、現金給与総額は下落し続けている。これは、製造からサービスに雇用が移り、低賃金労働の比重が高まったために全体の給与が低下したからである。今後、製造業の雇用縮小が不可避なら、受け皿として高生産性サービス業が不可欠だ。

第35回
「製造業の海外移転は阻止すべきだ」と言われるとき、理由として挙げられるのは、国内雇用に対する悪影響である。しかし、「製造業が国内に留まれば、雇用は確保される」とは、本当に言えるのだろうか

第34回
日本の輸出立国モデルは大きな曲がり角に来ている。輸出でもっとも重要なのは、自動車だ。そこで今回は、自動車の輸出モデルがどのように変化しているかを見ることとしよう。

第33回
日本の貿易収支は、震災後赤字から6月、7月は黒字回復したが、8月は7772億円と大幅な赤字となった。原因は、輸出が8月に減少した半面、輸入が継続的な増加を続けていることだ。背景には一時的なものだけではない、構造的要因が含まれている。

第32回
設備投資の海外シフトは、きわめて顕著に進行している。それに対して、施される経済政策の基本的な考えは、海外移転を「空洞化」だとしてそれを阻止しようとするもので、こうした政策に効果が期待できないことは明らかだ。

第31回
日本の貿易収支は、震災直後に大きな赤字になったもののその後回復して、6、7月には黒字になった。しかし、リーマンショック前と比べると、大きく減少している。現在、歴史的円高が続いているが、円高が輸出頭打ちの直接的な原因なのだろうか。
