野口悠紀雄
第42回・最終回
介護産業の確立には「公的な仕組みで運営する」という、現行制度の基本的な発想を変えることが重要である。その上で、税制や金融の仕組み、製造業を直接に介護産業へ転換する仕組みを構築するべきである。

第41回
第40回で労働力不足に陥る可能性を述べた。今回はさらに労働力率の推移を加味して労働力の過不足を予測した。その結果、日本がとるべき雇用政策の方向性が見えてきた。

第40回
製造業で雇用が減少し、介護医療分野では雇用が増加する。一方で日本全体は高齢化で労働人口は減少する。これらはバランスするのか、それとも労働力過剰になるのか。多角的に分析してみよう。

第39回
有料老人ホームは入居者が集まらず採算ラインに達しないところがある一方で、特別養護老人ホームは2~3年入居待ち。介護施設はその種類によって状況が大きく異なる。どのような問題があるのだろうか。

第38回
1990年代の後半以降、日本で起こった基本的な構造変化は、製造業の雇用が減り、介護の雇用が増えたことである。同時期に生じた日本の所得低下の基本的な原因は、製造業よりも平均賃金の低い介護の雇用が増加にあった点に注意が必要だ。

第37回
日本の製造業は最悪の状況にある。要因は東日本大震災やタイ大洪水などであるのは事実だが、これは一過性のものだ。90年代以降続いている構造的な問題に注目すべきである。

第36回
この10年程度の間、現金給与総額は下落し続けている。これは、製造からサービスに雇用が移り、低賃金労働の比重が高まったために全体の給与が低下したからである。今後、製造業の雇用縮小が不可避なら、受け皿として高生産性サービス業が不可欠だ。

第35回
「製造業の海外移転は阻止すべきだ」と言われるとき、理由として挙げられるのは、国内雇用に対する悪影響である。しかし、「製造業が国内に留まれば、雇用は確保される」とは、本当に言えるのだろうか

第34回
日本の輸出立国モデルは大きな曲がり角に来ている。輸出でもっとも重要なのは、自動車だ。そこで今回は、自動車の輸出モデルがどのように変化しているかを見ることとしよう。

第33回
日本の貿易収支は、震災後赤字から6月、7月は黒字回復したが、8月は7772億円と大幅な赤字となった。原因は、輸出が8月に減少した半面、輸入が継続的な増加を続けていることだ。背景には一時的なものだけではない、構造的要因が含まれている。

第32回
設備投資の海外シフトは、きわめて顕著に進行している。それに対して、施される経済政策の基本的な考えは、海外移転を「空洞化」だとしてそれを阻止しようとするもので、こうした政策に効果が期待できないことは明らかだ。

第31回
日本の貿易収支は、震災直後に大きな赤字になったもののその後回復して、6、7月には黒字になった。しかし、リーマンショック前と比べると、大きく減少している。現在、歴史的円高が続いているが、円高が輸出頭打ちの直接的な原因なのだろうか。

第30回
4-6月期のGDP統計の改定が発表された。ほとんどすべての需要項目が対前期比でも、対前年同期比でも減少している。復興過程が始まっているのであれば、これらはかなり高い増加率を示すはずだが、なぜ復興投資が増えないのであろうか。

第29回
震災後、再稼働できなくなった原発が増えたため、火力シフトが進み、CO2の排出量も増えているはずだ。しかし、震災後発生したさまざまの問題解決が優先するから、環境基準達成は忘れてもよいのだろうか?

第28回
電力需要は経済成長と密接に関わっており、なおかつ政府による成長率の見通しは過大だ。したがって、今後の成長率を現実的なものに見直せば、再生可能エネルギーに過度に依存することなく、また環境基準も達成しつつ、脱原発を実現する可能性がある。

第27回
電力需要は、経済活動水準とその内容に大きく依存する。しかし、エネルギー基本計画で想定される経済成長率の見通しは過大と考えられる。もしこれを補正すれば、将来の電力需要は減り、再生可能エネルギーに過度に依存しない脱原発も実現できるはずだ。

第26回
脱原発の議論においては電力需要に関する検討が不可欠だが、現実にはこの側面についての検討は十分に行なわれていない。そこで今回は、電力需要と強い相関関係がある製造業の生産水準を加味しながら、今後の原子力発電の位置づけを考えたい。

第25回
脱原発をすすめるうえで再生エネルギー拡大が焦点となっているが、コストや供給の安定性などの問題が指摘されている。では、脱原発は不可能かといえば、そうではない。需要等の見直しで、再生エネルギーだけに頼らない脱原発達成も不可能ではないのだ。

第24回
電力需要は、鉱工業生産と同方向に変動するが、変動率の絶対値は生産の変動率より小さい。つまり画期的な省電力技術が開発されない限り、円高よりもむしろ電力が今後の生産拡大に強い制約をかけていると考えざるをえない。

第23回
6月の貿易収支は黒字になった。ただし、黒字額は707億円に過ぎず、なんと前年比約9割減の著しい減少ぶりだ。貿易赤字に陥ったのは一時的で、黒字が正常だと考えている人が多いなか、今後の貿易収支はどうなるのだろうか。
