工藤卓哉
第10回
データサイエンスの身近な例として、小売店舗における商品補充の自動化が挙げられる。チェーン店などの多数の店舗で、多種多様な商品を極力品切れさせずに揃えられるようにするうえで、データサイエンスが活用されている。サプライチェーン上の膨大なデータを管理して在庫水準や補充を最適化するサービスを紹介する。

第9回
顧客情報、行動履歴から、一人一人に対して最適な商品をおすすめ(レコメンド)するサービスは、ECサイトでのクロスセル、アップセル、メールマガジン中の商品広告、キャンペーン情報送信対象の選定、クーポンによる実店舗への誘導、ニュースサイトの関連記事への誘導といったシーンで近年多く使われるようになってきた。

第6回
データサイエンスにおいて見落とされがちな2つの側面がある。一つは組織戦略面であり、もう一つが運用面で、最適化が最終消費者の目線で、社会的に良いことのために設計されているか否かということ。金や時間をかけても自己満足な結果に終始しているプロジェクトは、この2つが切り離されているためだ。

第5回
いよいよ本格的なデータサイエンス時代の幕開けを実感している。筆者が登壇したあるセミナーでの参加者の反応は、企業内で分析を担う組織・運用設計をどう実現するか、というものが多い。しかしその前提となるデータサイエンティストに求められる資質についての認識は十分ではなく、誤解も多い。

第4回
筆者はニューヨーク市政府で、医療の情報化と予防的診療のアナリティクスに取り組んできた。アメリカでも医療費の問題は根が深いが、課題認識と情報化の施策が整合し、アナリティクスで医療の質を向上させるという意識が強い。一方、日本の医療情報化を振り返ると、彼我の差が大きい。

第3回
アナリティクスは統計学、情報工学、制御工学、パターン認識、機械学習、並列処理技術等の複合分野からなる数理モデルを用いたサイエンスである。と同時に、データのばらつき、傾向を視覚によって理解し適切な対応モデルを選択する、といったことも要求される、視覚的センスを問われるアートでもある。

第2回
アナリティクスは金科玉条の如く振りかざすものではない。コンパスのように客観的、科学的なアプローチのよりどころとして使うべきである。ビジネスと公共領域では、適用される考え方も違うし、状況に応じて分析アプローチも変わってくる。

第1回
筆者がアナリティクスという言葉を初めて耳にしたのは、2006年当時、所属していた米国政府の二人の上司からであった。現在はオバマ政権で公共医療政策の要職に就く二人は、「強い意思を持つものが、ITを武器として使うことで、アメリカを、そして世界を変えられる」という信念を持っていた。
