
大江英樹
年齢に応じて資産の組み入れ比率を自動的に変えてくれる「ターゲットイヤー型」投信。考えたくない、わずらわしいと思う、ものぐさな人に向いていると言われるが、余計なお世話が満載で、金融機関側が儲かる仕組みが隠されている。

上場企業の多くや、一部の未公開企業の中に「従業員持株制度」というものがある。これは、従業員が毎月一定の金額を拠出し、共同で自社株を買い付けていく仕組みだ。しかし、デメリットも多く、安易に手を出すべきではない。

行動経済学に、「損失回避性」というキーワードがある。誰しも損失を回避したい傾向があることを指した言葉で、損失を嫌がるがあまり、もっと大きな損をしてしまっているということ。あなたもそんな罠にはまっているのではないだろうか。

人生は「選択」の連続だ。しかし、選択には不安と後悔がつきまとう。そうしたものを払拭しようと、無意識のうちに自分が選んだことを正当化しようとする。中でも最悪なのが「頑張った自分へのごほうび」だ。

初心者向けの投資の教科書を見ると、「株式は債券よりもハイリスクハイリターンである」と書いてある。この表現は必ずしも間違っているわけではないが、だからといって「債券の方が株よりも安全」とは必ずしも言い切れるわけではない。

「社会保険料」を節約するため、残業の在り方や、企業型確定拠出年金の手法などが論じられることがある。しかし、それらは本当に従業員のためになるのだろうか。中身をじっくり見てみると、誤解に基づいていることが分かる。

株式や投資信託への投資手法に、「ドルコスト平均法」がある。これは毎月一定の金額を、同じ投資対象に投資し続けるというもので、長期的な資産形成に最も適していると言われている。しかし、それは本当だろうか、詳しく見ていくことにする。

2017年1月から個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)の加入対象者が広がったことによって、人気はうなぎ上りだ。だが、利用法や運用の考え方について、三つの大きな誤解に陥ってしまっている人が多い。

投資信託を購入・保有する際の費用である「購入手数料」「運用管理費用」を安くしたり、無料にしたりするものが増えている。加えて「信託財産留保額」というものも「なし」にする商品が増えているが、これにはいささか問題がある。

会議の席上、役員から突然、難解な質問を投げかけられた経験がある、読者の方も少なくないだろう。そうした場合、どのように答えるのがベストなのか。行動経済学の視点で考えてみれば、その答えが分かってくる。

世の中には、「長期投資原理主義者」ともいうべき人たちがたくさんいる。長期投資が最もいい投資方法で長期投資さえしていればいい、という考え方である。しかし、"妄信"してしまうと痛い目に遭うから注意が必要だ。

生涯未婚率が男性で23.37%、女性で14.06%となるなど、世の中では結婚しない男女が増えている。長期間にわたる不況の影響で所得が増えなかったためだなどと言われるが、果たしてそうだろうか。経済学から考えてみた。

相場は、上がったものは必ずどこかで下がるし、逆に下がったものはいずれ上がるというのは、概ね真実と言っていい。そんな株式市場の特性を活用した、そして年末ならではの極めて単純な投資戦略をご紹介しよう

大人気で加入者急増の「iDeCo」。しかし、多くの人が勘違いしている点がある。それは、口座管理手数料ばかり気にしていること。それよりも、運営管理機関選びの方が重要である。そのための「四つの基準」を紹介しよう。

上昇傾向が続く株価。こうした状況になると、投資家は三つのタイプに分かれてくる。問題が大きいのは、「相場に乗り遅れ、ただ様子を見ているだけの人」たち。買いたいくせに弱気なことを口にする人たちだ。

第14回
CD不況の時代にもかかわらず、アイドルグループのCDだけは例外的によく売れているのは一体なぜなのか。この理由を考えてみると、実によく考えられたビジネスモデルになっていることが分かる。

第13回
日経平均株価は、10月24日まで16日連続で上昇して過去最長記録を更新、その後も上昇傾向を続けている。こうした状況になると、株式を持っていないリスクが強調され始めるが、慌てて買う必要はない。

第12回
10月9日、ノーベル経済学賞が発表され、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が受賞した。日常生活における身近な経済行動について心理学を交えて分析する「行動経済学」の権威だ。行動経済学に関する著書が多い大江英樹氏に解説してもらった。

第11回
株式市場には、理論的な根拠があるわけでないが実際に起きやすい現象を指す「アノマリー」と呼ばれるものがある。その代表格は「5月に売って9月に買え」。理論的な根拠は乏しいが、行動ファイナンスで説明がつきそうだ。

第10回
投資を初めてやってみようと思う人の多くは、まず「プロ」に相談しようと考える。しかし、その行く先が金融機関という人が意外に多い。だが、よく考えてほしい。彼らは、「資産運用のプロ」ではないということを。
