「3~5月は残業しない方がいい」は間違い、社会保険料の節約めぐる誤解

3~5月は残業しない方が
いいというのは本当か

 この時期になると、さまざまなサイトのコラムで「残業代」の話が出てくるようになる。これはこの時期の報酬が、社会保険料に関係するからだ。

 税と違って厚生年金や健康保険などの社会保険料は、「標準報酬月額」によって計算される。この標準報酬月額は、4~6月の3ヵ月間の報酬の平均額を元に、7月1日に決定され、その金額に応じて社会保険料が決まる。

 この場合の報酬には、もちろん残業代も含まれる。したがって、3月、4月、5月の残業を減らして、4月から3ヵ月間の残業代を少なくすれば社会保険料は少なくなるというわけだ。

 サラリーマンは給与明細を見ればわかるが、税金と同様に社会保険料も結構な金額が引かれているので、「少なくなるならそれに越したことはない」と思いがちだ。

 だが、よく考えてほしい。税金が少なくなることについてなら、単純にうれしいのは分かるが、社会保険料は将来受け取る年金額に影響してくる。つまり厚生年金保険料が少なくなるということは、それだけ将来もらう年金も少なくなるということだ。あたかも「朝三暮四」のことわざに出てくるようなことが、現実化してしまうのである。