従業員持株会に安易に入ってはいけない

福利厚生制度としての
「従業員持株会」

 上場企業の多くや、一部の未公開企業の中に「従業員持株制度」というものがある。これは、従業員が毎月一定の金額を拠出し、共同で自社株を買い付けていく仕組みだ。

 上場企業のほとんどで導入されているほか、未公開企業の中にも従業員持株会が組織されている企業はたくさんあり、一般的に「福利厚生制度」として位置づけられている。企業には、さまざまな福利厚生制度があるが、中でもこの従業員持株会は、多くの社員に対して加入するよう会社が積極的に勧めているところが多い。

 そんな従業員持株会をめぐって、時折、その功罪が語られることもあるが、筆者は全く違った観点から、加入を勧める方にも、勧められる方にも行動経済学におけるある「心理バイアス」が働いていることを指摘したいと思う。

 今回は従業員持株会に関するメリットと、あまり強調されないデメリットについても詳しく考えてみることにしよう。