
宮本道人
米国で1960年代に放送が始まり、日本でも『宇宙大作戦』のタイトルで親しまれた『スター・トレック』。人類が宇宙に進出し、異星人とも友好関係を構築している22〜24世紀の未来を舞台に、多様性の高いチームでさまざまな課題を解決していく。『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者である宮本道人氏は、そんな本作の世界観に、現代に通じるテーマが色濃く含まれていることを指摘する。

鏡のように時代を映す、ディストピア小説の古典――一九八四年
70年以上も前に書かれた物語でありながら、何度も「現代を予見した」とブームになり、時代を超えたベストセラーとして読み継がれてきたジョージ・オーウェルの『一九八四年』。後続のフィクションに大きな影響を与えただけでなく、ビジネスや政治の場でも盛んに利用されてきた。『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者である宮本道人氏は、本作を「SFプロトタイピング的な作品」であると指摘する。

「元祖SF」が予見したテクノロジー社会の課題――フランケンシュタイン
さまざまな未来の「if」を妄想で可視化し、そこに立ち現れる未知の問題を予見する――。『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者である宮本道人氏は、こうした特色を持つSFの先駆けとして、19世紀の英国で誕生した『フランケンシュタイン』を挙げる。人を襲う怪物というホラーとしての側面ばかりが注目されがちな本作は、実はビジネスパーソンに新たな視点を提供する示唆に富んだ物語なのだ。

アノニマスに影響を与え、個人主義のシンボルとなった作品――V フォー・ヴェンデッタ
一見、荒唐無稽な空想世界を語っているようでいて、実は現実を理解するための新たな視点と示唆を与えてくれるのが、SFの大きな魅力だ。『SF思考』の編著者である宮本道人氏が、ビジネスパーソンにお薦めのSF作品をさまざまな角度から紹介していく本シリーズ。今回はロシアのウクライナ侵攻に伴って注目を集めている「アノニマス」に大きな影響を与えたSFであり、複雑な国際情勢を理解する補助線にもなる作品を取り上げる。(構成/フリーライター 小林直美、ダイヤモンド社 音なぎ省一郎)

グローバルビジネスの潮流をヒーローから学ぶ!――ミズ・マーベル
世界のオピニオンリーダーがSFに注目し、発想の源泉にしているのはなぜか? SFは知的好奇心にあふれるビジネスパーソンを強く刺激するだけでなく、未来を考えるためのヒントをたっぷり与えてくれるからだ。『SF思考』の編著者の宮本道人氏が、ビジネスパーソンにお薦めのSF作品をさまざまな角度から紹介していく。今回はアメコミのスーパーヒーローものの話題作から、SDGs時代のビジネスのヒントを探る。

あらゆる人よ、芸術家たれ!理想郷を幻視したビジョナリー ――宮沢賢治
宮沢賢治といえば、知らない人はいない、といっても過言ではない国民的作家の一人だ。『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』といった童話、あるいは『雨ニモマケズ』『永訣の朝』といった詩に、教科書で触れたという人も多いだろう。実は彼こそがSFプロトタイピングの偉大な実践者だった――。『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏が、ビジネスに影響を与えたSF作家とその作品を紹介する本シリーズ。第7回では、傑出したSFプロトタイパーとしての宮沢賢治の顔に迫る。(構成/フリーライター 小林直美、ダイヤモンド社 音なぎ省一郎)

気候変動フィクションに、ビジネスの未来が宿っている――マヤ・ルンデ
今SFの世界では、良質な作品が続々と生み出されている注目のジャンルがある。気候変動をテーマにしたCli-Fiだ。『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏は、現在進行形で拡大・増殖を続けているこのジャンルにこそ、未来のビジネスを変えるポテンシャルがあるという。ビジネスに影響を与えたSF作家とその作品を紹介する本シリーズ。第6回では、Cli-Fiの第一人者であるノルウェーの女性作家、マヤ・ルンデを紹介しつつ、このジャンルそのものが持つ可能性の大きさを語る。

完成までに9年!『日本沈没』が生まれた背景にあった共創の精神とは――小松左京
『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏が、ビジネスに大きな影響を与えたSF作家とその作品を紹介していく本シリーズ。第5回では、星新一、筒井康隆と並ぶ「SF御三家」の一人に数えられる小松左京を取り上げる。フィクションに現実をがっちりと接続した上で、現実が内包する課題を直視してリアリティーのある未来像を提示し続けた彼は「最初にして最大のSFプロトタイパー」なのだ。

「偉大な失敗」が歴史に残る名作映画を生み出す――フランク・ハーバート
壮大なスケールで人類の未来を描くSF大作『DUNE』の原作者、フランク・ハーバート。エコロジーが未来社会の重要課題になることを的確に予見した大作家だが、その型破り過ぎる発想故に、作品にはさまざまな「失敗」が付きものだった――。『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏が、ビジネスに大きな影響を与えたSF作家とその作品を紹介していく本シリーズ。第4回となる本稿では、イノベーティブな発想が宿命的に背負う失敗の影と、それを超えて広がる未来への影響について考察する。

直視困難なディストピアでジェンダー問題を理解する!――マーガレット・アトウッド
『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏が、ビジネスに大きな影響を与えたSF作家とその作品を紹介していく本シリーズ。3回目に取り上げるのは、ジェンダーSFの大家、マーガレット・アトウッドだ。代表作である『侍女の物語』は、発表から32年後にドラマ化されて世界中で大ヒット。救いのないディストピアを描きながらも、不条理な現実に立ち向かい、行動する勇気を多くの女性たちに与え続けている一冊だ。

未来を作り出す驚きの思考!――アイザック・アシモフ
『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏が、ビジネスに大きな影響を与えたSF作家とその作品を紹介していくシリーズ。2回目は「ロボット工学三原則」を生み出したアイザック・アシモフに注目する。70年以上も前に示されたこの考え方が、AIやロボットの倫理的活用の議論に、今でも大きな影響を与え続けている。

ビッグテックの真の創造主!? ――ニール・スティーヴンスン
妄想力をテコに「斜め上の世界」を思い描き、未来のプロトタイプ(試作品)として活用していく──。一部の先進企業でイノベーションを起こす原動力となってきた「SFプロトタイピング」が、今、日本でも注目されつつある。この背景にあるのが、SFはこれまでも現実のビジネスに大きな影響を与えてきた、という厳然たる事実だ。本シリーズでは、『SF思考 ビジネスと自分の人生を考えるスキル』の編著者・宮本道人氏が、その実例として世界を大きく変えてきたSF作家とその作品を紹介していく。
