ひと株3000グラムが25グラムへ!
超軽量化「水菜」が誕生

 そんなF1品種主流の中、生き残ってきた伝統野菜もただ残っているわけではありません。
 たとえば、京野菜人気の火つけ役である「水菜」
 ほんの20年ほど前までは知らない人も多い野菜でしたが、水菜サラダなどが人気で今や全国で育てられています。

 もともと水菜は、ひと株が2.5キログラム(2500グラム)~3キログラム(3000グラム)と大型野菜で、ハリハリ鍋など鍋で食べるのが一般的でした。

 今はひと株がなんと25グラムという超軽量化のものもあり、株間を狭くして密植にすることで超軽量化が実現しました。
 これにより、茎が細く、サラダや豚肉を巻いて食べられるなど、いろいろな料理に用途が広がりました。

「聖護院大根」も超スリムダウン!

 また、京野菜の聖護院大根は、すごく大きなかぶのような形をしているのですが、これまた1玉が3~4キログラムと大型野菜で、大きな鍋を使って昆布だしで炊いて食べるのが一般的でした。そのため、今の家庭事情に合わず、お茶の間から敬遠されていました。

 そこで、聖護院大根も密植することで1.2キログラムぐらいの大きさが標準になりました。
 これによりキメも細かくなり、それまで向かないとされていた漬物にもできるようになり、新たな価値が出てきました。

 こうやってみると、伝統野菜もそのまま生き残ってきたわけではなく、時代、時代に合わせて今があるのです。

 ここ最近のトレンドとしては、地域起こしの一環として、伝統野菜のブランド力を活かし、各地でお菓子やジャムなど、現代風の加工品として甦ってきている例も多くあります。

伝統の力にあぐらをかいていたら生き残れない!
 見習うべきところが多くありそうです。