大人になってから「母が苦手だ」と打ち明ける女性が多く見られます。女性が自分を好きと感じる自己肯定感や幸福感は、同性である母親の接し方が大きく影響するといわれ、その最初の分かれ目となるのが、9歳、10歳のころ。『AERA with Kids 秋号』(朝日新聞出版)では9歳、10歳ごろの女の子と母親の関係が将来にどう影響するか、詳しく解説しています。

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AERA with Kids(アエラ ウィズ キッズ)2016年秋号
朝日新聞出版
定価:780円(税込)

「親子関係というのは、母と娘、母と息子、父と娘、父と息子というそれぞれの関係の相互作用です。性別によって、お互いの影響の仕方も異なってきます。中でも、母と娘という関係は、母親が娘にとっていちばん身近な同性のモデルとなるので、影響は大きいのです」

 こう語るのは、目白大学心理カウンセリング学科の小野寺敦子先生。

「母親の姿は、将来、娘が感じる幸福感や充実感、結婚相手を選択するときにも影響を与えます。同性モデルとなる母親が、『どういう生き方をしているか』ということが、娘の将来の生き方に関係していくるのです」

 小学校低学年時代は、無条件に「ママ大好き!」の時期。生活も母親中心です。しかし、中学年~高学年になると、友達の存在が大きくなって、視野も広がり、冷静な目で母親を見るようになります。

「この時期の体や心の成長は、女の子のほうが男の子より早いのが一般的です。ですから、女の子のほうがよく観察しているし、理解している。そう考えると、9歳、10歳ごろの娘に対する母親の接し方というのは、とても重要といえるでしょう」

 では、この時期の女の子に対して、母親はどんなことを心がければいいのでしょうか。

「この時期、いちばん重要なことは、なんといっても家族の仲がよいことです。この時期に父親と母親の夫婦仲が安定していると、そばにいる娘はそれだけで心理的に安定します」

 自分のモデルである母親が、異性である父親と仲良しでいるかどうかは大きなポイント。娘の将来の結婚に対する考え方や、結婚相手の選択に大きな影響を与えるといいます。

「夫婦関係だけでなく、親子関係においても、風通しがよく、居心地のいい家庭であること。これだけで娘が将来抱く幸福感は変わってきます」