母娘の消費行動に小売・美容界が注目(写真と本文は関係ありません)

 初夏を迎えて、おしゃれがますます楽しいシーズンとなった。街を歩くと、若々しくファッショナブルな大人の女性をよく見かけるが、なかでも40代以上の女性たちの美へのこだわりに驚くことも多い。

 同時に目に付くのが、娘と一緒にショッピングや旅行、食事などを楽しむ母親の姿である。とくに10~20代とおぼしき娘とその母が共に行動する姿は、まるで姉妹と見まごうほどで、洋服も共用しているのか、母親のエイジレスなファッションや外見が印象的だ。

 彼女たちは買い物や食事のみならず、美容室やネイルサロン、エステサロンなども共に楽しむことが多いという。

 消費行動やライフスタイルのトレンドを研究している「リクルートライフスタイル」(東京都)では、このように母娘で一緒に美容サービスを利用するトレンドを「ままも族」と名付け、35~65歳の女性たちが該当すると定義付けている。

母親には若々しさの維持、
娘には経済的なメリットがある

「ままも族」が多く出現する背景の1つには、まず「母娘の友達化」が進んでいることがあるという。そのほかにも、「気楽」「共に行動できて嬉しい」という心理が働くようで、筆者も周囲を見渡せば、このような母娘が実にたくさん存在するのを感じとることができる。

 また、母親側には「きれいになるよいきっかけができる」、娘側には「経済的援助がある」と、双方にメリットがあることもブームを後押ししているようだ。

 人口統計概算値(総務省統計局調べ)によれば、「ままも族」にあたる35~65歳の女性の人口は約2600万人(2013年1月)。非常に巨大なマーケットとして、美容院やネイルサロンも母娘サービスを展開するなど、美容業界では「ままも族」需要に熱い視線を注いでいる。

 美魔女ブームが生まれて久しいが、「いつまでもきれいでいたい」「新しい美容サービスを受けてみたい」という女性たちの願望は一層強くなり、美容や消費に対する貪欲さこそが、もはや日本経済の一端を担っているのでは…、と感じるほどである。

 アベノミクス効果の勢いを誰もが実感しつつある昨今、この「ままも族」が消費の新たな波を呼ぶのか? 楽しみなところだ。

(田島 薫/5時から作家塾(R)