5年に一度行われる住宅・土地統計調査(総務省統計局)によれば、2008年時点で、日本の住宅数は5759万戸。その13.1%が空き家だ。すでに供給過剰と言える不動産市場において、住まい探しはどう変わっていくのか──ホームアドバイザー、井端純一社長に聞いた。
――かつての新築偏重の時代から中古も選べる時代へと、大きな変化が見られます。
新築か中古かは、志向性の問題。どちらが優れているというものではありません。
建売りの新築は既製服のようなもの。魅力を感じる最新の設備が整っていて、最大公約数的ないい家。ただ、新築できる土地に限りがありますから、選ぶ地域の幅は狭まります。
一方で中古は、豊富な物件数から選べるうえ価格も安い。自分のライフスタイルに最適な家へリフォームもできます。ただ、オール電化など最新の設備に一新できない場合もあるし、すべて最新のものにすれば、相応の費用がかかる。優先順位をつけて手を加えていくしかありません。
欧米では中古が主流であり、今後、中古市場は欧米並みの規模に広がっていくでしょうが、選択肢の一つとしての新築も根強く残るはずです。
――空き家率が13%を超え、さらに高まりそうですが、今後の不動産市場はどうなるとお考えですか。
一生、一つの家に住み続けるという既成概念にとらわれる必要はありません。物件の選択肢が増えること自体は、喜ぶべきこと。ライフステージに応じて気軽に住み替えられる時代になれば、もっと豊かな人生が送れると思います。
経済的余裕のない10代~20代前半は賃貸に住み、20代後半から50代の間に、結婚や子どもの成長に合わせて家を買う。そして、定年退職や子どもが独立する60代~70代は、郊外の戸建てを売って、便利な都心のマンションや自然に恵まれた暮らしができる物件を購入し住み替える、といったライフスタイルが一般的になれば、空き家率が上がっても、不動産市場は今以上に活性化します。