株式投資の世界で、いま注目を集めている一冊がある。楽天証券の窪田真之氏が手がけた『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。全60問のクイズに答えていくだけで、実践で使える売買判断の感覚が自然と身につく構成が、幅広い個人投資家の支持を集めている。本稿では、『株トレ』の担当編集者が、とくにこれから投資を学ぶ人に届けたい「プロの視点」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

いい株を残し、ダメな株を売る
「テンバガー」と呼ばれる、株価が10倍になる銘柄。夢のような話だが、実際にそういった株をさわったことがある人は意外と多い。
しかし、その株をテンバガーになるまで保有できた人はごくわずかだ。
『株トレ』の著者・楽天証券の窪田氏によれば、株式投資で成果を上げている人ほど、利確のタイミングが遅いという。焦って利益を確定することをせず、上昇トレンドが続く限りは保有し続けているのだ。
一方、多くの初心者は「利益が出ているうちに売りたい」という心理から、早めに利確してしまい、その後の大きな上昇を逃してしまう。
勝率よりも「どれだけ大きく勝つか」
「損は早く切り、利益は伸ばす」というのが、株式投資における基本原則だ。
しかし実際には、多くの人が実現損益ばかりに目を向けていて、一回ごとの勝ち負けに振り回されてしまう。
資産を伸ばすという意味では、実現損益も評価損益も同じであり、株で稼げる人ほど、優良株を長く持つことで、評価益をどんどん膨らませているのだ。
「買い値」にこだわらない
窪田氏によれば、2銘柄を保有していて、片方が上昇、もう一方が下落している時、多くの初心者は上昇株を利確し、下落株を持ち続けてしまう。
これはつまり、「良い株を手放し、ダメな株を残す」という非合理な行動だ。
窪田氏は「買った値段は意識しなくていい」と断言している。
買った値段とは関係なく、下がっている株を売り、上がっている株を残すことで、「損小利大」のトレードができるのだ。
株で利益を出すためには、「いい株を残し、ダメな株を切る」という原則を徹底できるかどうかにかかっている。
このシンプルな行動原則こそが、株式投資で成功する人に共通する考え方なのだ。